「遅れる」の汚名返上、イタリア鉄道なぜ激変? きっかけは「新参との競争」英仏間列車にも進出

イタリアの旧国鉄系鉄道会社、イタリア鉄道(FS)グループは今年4月、2029年までにパリ―ロンドン間の高速列車運行に参入する意向を発表した。
英仏海峡トンネル(ユーロトンネル)を介してイギリスと欧州大陸間を結ぶルートの旅客営業は、開業以来30年超にわたり「ユーロスター」が独占してきた。一時期はドイツ鉄道(DB)が参入に関心を示し、同社の高速列車「ICE3」がデモンストレーションでロンドン・セントパンクラス駅へ乗り入れたことがあったが、この計画はその後進展せず、事実上立ち消えとなってしまった感がある。
イタリア鉄道の計画が実現すれば、ユーロスターにとって初めての競争相手となり、両都市間を結ぶ鉄道に競争が生まれ、運賃やサービス面での変化が期待できる。
イタリアの鉄道がなぜ英仏間に?
参入にあたり、イタリア鉄道は過去2年以上にわたって独自に両都市間の高速列車運行を目指してきたスペイン企業、エヴォリン(Evolyn)との間で協力の覚書を交わした。
新しいサービスはイタリア鉄道の旗艦高速車両、フレッチャロッサ・ミッレ(日立レール製)をベースにした車両を投入する予定で、サービス面などで独自のものを取り入れていくとしている。
英仏間に限らず、イタリア鉄道は近年、自国以外の欧州各国への参入を積極的に進めている。しかも「イタリアから他国に乗り入れ」ではない、完全に他国内だけの列車運行も行っている。なぜイタリアの鉄道会社、しかも旧国鉄が、他国での列車運行に乗り出しているのだろうか?
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