ワクワクして、成長できる職場の作り方 ITの進化で変わる、ラーニングのかたち(下)

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これからの学び

企業にとっても、個人にとっても、いちばんシアワセな学び方ってなんだろうか?

毎日、考えているのだが、これまでのように「会社が父親、社員が子供」のような関係、つまり親がレールを敷いて、そのレールから外れないように、細かくガイドするやり方は、どっちにとっても不幸な気がする。

先日、ある国内大手保険会社の社長が、「これからの会社と個人の関係は、会社に従属する個人がいるのではなく、会社というプラットフォームの上に、個人がのって活躍する時代」と話されていた。今後は、こうした企業(組織)と個人のバランスを前提に育成していくのが正解かもしれない。

そうなると、私たち社員一人ひとりも意識を改め、成長する責任を自ら背負う必要がでてくる。でも自分自身が看板であり、私たちの一生は、自分の中に眠る才能(看板)を開花させるための旅だと思えば、それに見合う価値はきっとあるはずだ。

また企業の人事も、これまでの固定概念を捨ててもらう必要がある。マサチューセッツ工科大学(MIT)メディアラボ所長の伊藤穣一氏はよく次のようにおっしゃっている。

「Learning over education. 学びは自発的なもの、教育は与えられるものであり、本来は性質が異なる。しかし、私たちの中には依然として『教育システムがないと、学びは生まれない』という意識がある。でも教育システムに拠らなくても学びを生むことが可能な時代は、すでにやってきている」。

伊藤氏の言うように、「どう教えるか」ではなく、むしろ「どうすれば社員の自発的な成長を後押しできるか」という発想に立てれば、これからのラーニングもきっと新しい景観を見せてくれるはずだ。

ラーニングが新しい世界へシフトする中、日本企業や私たち一人ひとりがどういう学びをしていくとよいか、特にITが学びの質をどう変えているのかに軸足をおいて、次回以降も、グローバル先進企業の取り組みを紹介していきたい。

作佐部 孝哉 PwCコンサルティング合同会社 パートナー

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さくさべ たかや

PwCコンサルティング合同会社 パートナー。組織・人材戦略の専門家として、新興国における組織・人材戦略をまとめた連載『エマージング市場攻略法』(日経産業新聞)や、日経BP社主催のHRマネージメントフォーラムなどの大規模セミナーに登壇し、10年先を見据えた組織・人事戦略を提言。共著に『新興国進出のためのグローバル組織・人材マネジメント』(東洋経済新報社)がある。

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