パーソナル化するラーニング
これまでの人材育成では、人事部が定義した人材要件を基に、まるで鋳型にはめ込むように、人事部が育成プログラムを作り込み、ベルトコンベアのような大量生産型モデルで、社員に提供されてきた。それがいちばん効率的だったからだ。 これからはテクノロジーの進化に加えて、社員に対して独創性やイノベーションの発揮がより求められてくるようになると、ラーニングはよりパーソナル化していく。
具体的には、人事部が職種別にカリキュラムを決めるのではなく、一人ひとりが自分の強みや志向にあった学習内容を自ら選択して受講する。それも、一方的に知識を消費するだけでなく、自分から外に発信する「学び」の提供者にもなることで、知識や情報のフローを引き起こし、成長していく、まさにトルネード型のラーニングになっていく。
あるグローバル企業の事例を見てみよう。社員は、自分の興味のあるコミュニティに所属し、Yammerなどでその道のプロ同士で交わす情報のやり取りをフォローする。また毎日のように開催される最新の事例紹介や、ノウハウ共有のウェビナーに参加し、グローバルの専門家から学びつつ、逆に自分からも経験や意見を共有、発表する。話の中で、興味のあるテーマが出てきたら、関連する10分程度のマイクロセミナー(TEDのようなもの)を選んで、休憩時間に視聴したり、自ら学習コミュニティを立ち上げたりする環境が整えられている。 学びの主導権は、社員にあり、自分の興味でデザインできる形ということだ。
欧米でもworkforce of oneという概念が提唱され、これまでのように職種別/役職別に画一的なものではなく、個々の志向にあった人事制度や研修を選択できる仕組みがとられている。ペプシコ、P&G、グーグル、マイクロソフトといった企業がその先進事例としてよく知られている。(http://www.accenture.com/us-en/outlook/pages/outlook-journal-2010-workforce-of-one.aspx#sidebar)
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