テーラーメード型人材マネジメント時代の到来
■アナリティクス全盛
「ビッグデータ」や「アナリティクス」は、昨年から、ビジネス系の書籍やウェブ記事をにぎわせたキーワードだ。皆さんも何度となく耳にしたことがあるのではないだろうか。「今世紀最もセクシーな職業」は、サッカー選手でもパイロットでもミュージカル俳優でもなく、大容量のデータ(ビックデータ)を分析し、洞察を導き出すデータサイエンティストだという。確かに、近年の演算処理速度や通信速度の進化によって、ビックデータが容易に扱えるようになった今、特にマーケティングやR&D領域におけるビックデータアナリティクスは、企業の新たな競争優位実現のための重要な地位を占めている。
その勢いは、マーケティングやR&D領域にとどまらず、人材活用の領域にも適用され始めていることはご存じだろうか? ブラッド・ピット主演の映画で一躍有名になった『マネーボール』で描かれた世界が有名な例だ。本稿では、実際にアナリティクスを人材マネジメントの領域にどのように活用することができるのか、Googleをはじめとするグローバル企業は、アナリティクスをどのように活用しているかを紹介したい。
■金太郎あめ的な人材マネジメントからの脱却
もともと多くの経営者や人事担当者は、優秀な人材を採用し、効率よく育て、長く活躍してもらうために、企業においても人材マネジメントの仕組みを多様化すべきであることはわかっていながらも、その手間や時間、予算の制約から、個々人の特性や志向の違いを十分に把握してこなかった。ITを活用したアナリティクス時代の到来は、その制約を解き放ち、多様化する潜在的なニーズを的確にとらえ、金太郎飴的人材マネジメントからの卒業を促すことにつながる。まさにアナリティクスは、テーラーメード型人材マネジメント時代の救世主といってよいかもしれない。
では具体的に、先進企業はどのようにアナリティクスを使ってテーラーメード型人材マネジメントを実現しているのだろうか。今回は特に、事業の成長エンジンとなる優秀な人材の「採用」をいかに行うか、優秀な人材に中長期的に活躍してもらうための「定着化(=離職を未然に防止)」にどのような施策を取るべきか、という場面でのアナリティクス活用例を見ていきたい。
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