「テレビゲーム」に熱狂するメカニズムとは
過去、スーパーマリオブラザーズを一度もプレーしたことのない読者は少ないのではないか。幼き日、宿題そっちのけで夜遅くまでプレーし、母親に小言を言われた読者も多いことだろう。ただ、これは必ずしも、ありし日の少年が“怠慢”だったとか、“自分に甘かった”ということを意味しない。実は、スーパーマリオブラザーズをはじめとするテレビゲームには、少年たちを熱狂させるメカニズムが埋め込まれてあったのだ。
その少年泣かせのメカニズムをひもとくと、大きくは以下の4つである(下図)。
以上の要素が、若き日のわれわれに「娯楽性」「競争心」「達成感」をもたらし、少々の母親の小言など振り切って、ファミコンコントローラーにかじりつかせていたのである。
このような、ゲームを面白くするために使われる技術やノウハウを、企業のサービス・事業開発やマーケティング、教育など、ゲーム以外のさまざまな場面で活用する動きが活発化している。こういった取り組みは「ゲーミフィケーション」と呼ばれ、人材育成の領域でも近年、活用され始めている。
ただ、現在のところ、人材育成領域に導入され始めているゲーミフィケーションは玉石混交であり、単なる教育の娯楽化の追求(過去のエデュテインメントの焼き直し)にすぎないものも多いし、従来からある経営コンセプトを無理やり話題のゲーミフィケーションと結び付けて語られるケースも多い。たとえば、「経営の可視化」という従来からあるテーマにおいて、社員に経営情報を開示する速さをランキング形式で表示し、上位者には報酬を与える仕組みをもって “ゲーミフィケーション”と称したりしている。また、教育コンテンツにゲーム性を加えるのは、アイデアベースで比較的少額投資で取り組めることから、ベンチャー系企業の活用が目立ち、まだまだ“大企業”における活用は緒に就いたばかりという状況である。
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