言語も価値観も異なる各国の新入社員に対し、ストレスなく、スムーズに会社の業務ルール、価値観を理解してもらうためには、こうしたゲーミフィケーションの仕組みは最適だ。ただし、会社としてこれだけはグローバルで周知徹底したいという業務ルールや価値観は、細かい部分まで明文化・共有しておくことが前提となる。
次の段階は、基本知識をベースに、実践で試行錯誤しながら、最適なやり方を見つけことである。ここでも、OJTに頼らず、ゲーミフィケーションを活用することで、一定のレベルまで短期間に底上げすることが可能である。
ただし、単にリアルなシミュレーションゲームを作って現場に展開すればよいという簡単な話ではない。ゲームの中に、商売上のビジネスロジック(KPI)をきちんと組み込むことが必要だ。たとえばアパレルでいえば、立地条件や客層、天候によって販売計画を立てさせ、その達成率が、過去の実績に基づき、リアルに計算されるようにする。また、ゲームの中での気づきをいかに実践に反映させるか、ファシリテーター役の役割も重要となってくる。
つまり、「単に楽しんで終わり、知識を得て終わり」ではない。現場での実践力向上につながるシミュレーションゲームを作ろうと思ったら、その会社や業界、顧客への深い洞察力を備えたビジネスパートナーの支援が不可欠である。単に、楽しいコンテンツ開発力に長けたゲーム会社や広告会社に任せっぱなしではダメだということだ。このことを理解するために、アクセンチュアが支援している、ユニリーバの営業マネジャー向けゲーミフィケーション導入の事例を見てみよう。
このトレーニングの進め方で興味深い点は、シミュレーションを通じてユニリーバのビジネスの文脈に合う形で、実際に使えるビジネス感覚について気づきを促すために、各チームにファシリテーターとしてアクセンチュアのコンサルタントを起用していることである。このトレーニングのスタイルは参加者にもその上司にも好評で、セールス以外の部門への展開も試みようとされている。
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