アナリティクスは人事をどう変えるのか? アナリティクス全盛時代の人材マネジメント(上)

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また、2つ目の労働市場に出てこない潜在的な候補者をどのように見つけるか、についてもインターネット上の情報を基にしたアナリティクスの活用が可能だ。

たとえば、カリフォルニアのスタートアップ企業のTalent Bin社は、応募者やLinkedIn上に該当者がいなくても、フェイスブックやTwitterなどのSNS、マイクロブログやそのほかのインターネット上にある情報を分析して、候補者を見つけるサービスを提供している。

創業者のPeter Kazanjy氏がビジネスインサイダー誌に語ったやり方が面白い。「ある企業がiOSエンジニアを募集していたとします。仮に該当スキルを持つ候補者が応募してこなくても問題ありません。TwitterでiOSやiOS用の開発言語についてつぶやいていたり、ネット上で複数のプログラムコードを公開していたり、Apple社のエンジニア向けチャットルームに参加していたら、彼は明らかにiOSのエンジニアですよね」。アナリティクスを用いれば、インターネット上の情報から簡単に欲しいスキルをもった人材を特定することができる、ということだ。

近年、マーケティングの現場では、消費者の過去の購買履歴、SNS上のコメント、検索履歴などを基に各人の嗜好を分析し、各人の嗜好に合った販促プロモーションが行われている。人材の採用活動においても、同様の手法を取り入れ、候補者を「潜在顧客」と見立てることで、他社に先んじた高度な採用マーケティングが可能になってきている。

(2) 間違いだらけの離職防止策

最後に、せっかく採用した優秀な社員を辞めさせないために、アナリティクスを活用している例を見ていこう。これは日本企業が展開を加速しているアジアにおいて、現地の人材を定着させるにはどうすればよいかという点で、どの企業においても関心が高いテーマでもある。

エンゲージメントとは

今や数多くの企業で、社員の定着化や離職率の適正化を測る指標として、「エンゲージメント」という指標が採られている。「エンゲージメント」とは、メンバーの組織に対する帰属意識や満足度を測る指標であり、この指標が高い企業や組織ほど、個々の社員が「この組織に長く属していたい」「この組織を友人にも積極的に勧めたい」「この組織のために貢献したい」と思っている度合いが高いということである。

そして、エンゲージメントの向上のためには、「組織」「仕事内容」「多様性への理解」「評価・報償」「上司・同僚」「成長機会」といった6つの視点(=エンゲージメントドライバー)で、魅力向上のための施策を考える必要がある。

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