「他人との距離感」がつかめない人への処方箋 「何かを犠牲にしていないか」がポイント
カウンセラーとして日々メンタルヘルスの相談を受ける中で、周囲の人や状況に自分を合わせすぎ、過剰適応に陥ってしまっているケースによく遭遇します。特に4月の新生活シーズンは生活環境や学習環境が大きく変化するため、思った以上に疲れやすい時期であると言えます。こうしたときに意識していただきたいのが「心のバウンダリー」です。
自分と「自分以外」との線引きが大事
バウンダリーとは自分と「自分以外の外界」とを区別するラインのことで、ここでは心の境界線のことを指します。別の言い方をすれば、自分という存在の輪郭を形成する垣根のような存在です。このバウンダリーが確立され「踏み込まない・踏み込まれない」人間関係が築けていれば、私たちの精神状態はすっきり正常に保たれます。しかしバウンダリーがあいまいだったりぼやけたりしていると、大きなストレスをまともに受けてしまい、苦しい気持ちに苛まれることになります。
たとえば、つねに不機嫌で人の悪口が大好きな同僚が職場の隣の席にいたとしましょう。あなたは彼の愚痴を毎日聞かされ辟易としている。彼が同意を求めてくると、それに合わせないといけないように感じてしまう、でもそうした後は決まってとても嫌な気分になる……こうした状態はあなたのバウンダリーが彼の言動に侵食されていると言えます。
ここまで読んで「まさに自分……」と落ち込む必要はありません。バウンダリーは状況や相手によって自由に変えることが可能です。
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