今年1月、筆者は『プロ野球12球団春季キャンプの歩き方2018』を刊行した。そのために、昨年2月は12球団の15のキャンプ地を回った。今年も18のキャンプ地を回った。こういう形でキャンプ地を網羅する人は少ないのではないか。「キャンプ地総まくり」からは、今のプロ野球の違った側面がいろいろ見えてきた。
プロ野球の春季キャンプとは何か?
そもそも、プロ野球の春季キャンプとは何なのか? プロ野球の「法律」である「野球協約」には、以下の条文がある。
球団は選手に対し、稼働期間中の参稼報酬を支払う。統一契約書に表示される参稼報酬の対象となる期間は、毎年2月1日から11月30日までの10か月間とする。
球団は12月1日から翌年の1月31日までの期間、選手にユニフォームを着せて試合や練習をさせることはできない(ウィンターリーグなどの例外はある)。プロ野球選手は「個人」に戻る。年末から年始にかけてプロ野球選手がいろいろなテレビ番組に出演するのは、そのためだ。先日紹介した横浜DeNAベイスターズ筒香嘉智選手のメッセージもこの期間に発せられたものだ。
そして2月1日、選手は再び「球団の一員」となる。球団はこの日から新年度をスタートさせる。2月1日はまさに「プロ野球の元旦」なのだ。春季キャンプは、単なる「合宿」「合同練習」ではなく、全選手、監督、コーチ、チームスタッフが参加し、ペナントレースを戦うための新しい「チーム作り」をする重要なプロセスなのだ。
当初は、財力のあるチームは温泉地などでキャンプを行い、予算が乏しい球団は本拠地球場や、多摩川の河川敷などで行うこともあった。しかし、1955年に巨人が温暖な宮崎県の串間市でキャンプを始めてから、次第に宮崎県、高知県など西日本で多く行われるようになる。そして今は、沖縄県、宮崎県が2大キャンプ地になっている。
春季キャンプを行うには、どんな条件が必要なのか?
1つは当然「温暖な気候」。厳寒の2月に体を動かすのだから当たり前ではある。それに「降雨量が少ない」ことも望ましい。
施設面では、全体練習や実戦形式の練習、練習試合などを行う「メイングラウンド」、投手の守備練習や特守などを行う「サブグラウンド」、投球練習を行う「ブルペン」、そして雨天を中心に使う「室内練習場」。この4点セットが必須だ。
そしてできれば、この4点セットがダブルで欲しい。プロ野球キャンプは1軍と2軍に分かれて行う。1軍の指揮官にしてみれば、1軍を中心に見ながら、2軍の様子も気にかかる。同じキャンプ地で1軍、2軍が一緒にキャンプをしていれば、全選手の状態を把握でき、的確な選手の登用ができる。
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