プロ野球「春季キャンプ」が宮崎に与えた貢献 2018年の12球団のキャンプ動向を探る<上>

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春季キャンプの時期に、日南市油津にある日南市観光協会のオフィスに入ると真っ赤なカープのユニフォームを着た職員と、ブルーを基調とした西武ライオンズのユニフォーム姿の職員が一緒に仕事をしているのが目に飛び込んでくる。

カープ一本道と名付けられた道路(筆者撮影)

日南市も市内でキャンプをする広島、西武両方を支援する「協力会」を立ち上げている。どちらも日南市長が会長を務めているが、西武の協力会は主として日南市南郷町出身者が担当している。南郷町は2009年に日南市と合併するまで別個の自治体だった。広島と西武の担当を明確に分けているのは、風土や文化も異なる旧南郷町のアイデンティティを尊重しているからだろう。

「観光宮崎」のブランディングに貢献

日南市のデータによれば2004年の広島春季キャンプの来場者は1万4500人だったが、2017年には7万7000人と5倍強になっている。対して西武ライオンズは2004年には2万6000人だった。2010年には6万0950人も来ていたが、2017年には1万3000人と半減。チーム成績などもあって、キャンプ地の動員数はけっこう大きく揺れ動くのだ。

人数の多寡にかかわらず、日南市のキャンプには、熱気が感じられる。宮崎市が「ビジネスモデルとしての完成度が高いキャンプ」だとすれば、日南市は「熱い球団愛に支えられたキャンプ」だと言えるのではないか。

このほかには宮崎県北部の西都市でヤクルトスワローズの2軍キャンプが行われていた。

半世紀以上、プロ野球キャンプのメッカとして知られてきた宮崎県だが、最近は沖縄県にやや押されている印象だ。

宮崎県観光推進課スポーツランド推進担当主事の児玉兼輝氏は、「長年プロ野球キャンプを官民一体となって受け入れていることで、受け入れノウハウが蓄積されるとともに『スポーツランドみやざき』のブランド力が向上し、プロ・アマ問わずさまざまな競技の合宿誘致につながっています。また、キャンプ期間中は受け入れ自治体が大きな盛り上がりを見せるため、地域活性化にも寄与していると考えています」と話した。

プロ野球の春季キャンプは多年にわたって「観光宮崎」のブランディングに貢献していることを肌で感じた。

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