韓国と中国の「犬を食べる文化」は悪なのか 犬肉料理を振る舞う地域を実際に回ってみた

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日本人にとっては愛玩動物と書いたが、韓国人にとっても、犬は愛玩動物でもあるらしい。なぜなら、ペット用の子犬も売られていたからだ。ペットとして買われなかったら、そのまま食用として育てられる。

話を聞くと、韓国国内にも若者をはじめとして犬を食べることに反対している人たちは多いらしい。現場では、そういう人たちが写真を撮らないかずいぶん警戒する空気があり、口ゲンカをしている声も聞こえた。ただ、全体の雰囲気としては明るく、笑い声が絶えない市場だった。

犬肉レストラン(筆者撮影)

市場の周りには犬肉料理が食べられるお店が並んでいる。そのうちの1軒に入ることにした。

お店の中には、耳を紫色に染められた小型犬がちょこんと座っていた。このレストランのマスコットキャラらしい。さすがにちょっと悪趣味だなと思う。

店内のムードは明るかった。家族経営をしているようで、お父さんが調理をして、お母さんが給仕をして、子供が皿洗いをして……と一家で働いていた。

ポシンタン(補身湯)を注文する。ポシンタンとは栄養スープみたいな意味の言葉だが、犬肉辛味スープの隠語になっている。韓国では1988年のソウルオリンピック以降、犬肉文化は隠されている。

ポシンタン(筆者撮影)

犬の筋肉と内臓と香草を煮込んだスープだ。値段は日本円で900円と、食べ物の値段が日本より安い韓国では少し高めの値段だった。

スパイスの香りで最初はわからないが、はんでいるうちに犬の臭いが口の中に広がる。犬の臭いとは、犬をハグしたときの臭いだ。慣れていないと、さすがにおいしいとは思えなかった。

ただ、もちろん周りの人たちはパクパクと平らげていた。

その後の2017年、ピョンチャンオリンピック(平昌五輪)の影響で、モラン市場での犬の屠畜施設などは撤去された。かつて韓国政府はソウルオリンピックや、日韓ワールドカップなど国際的スポーツ大会があるたびに規制を強めてきた。

今回もかなり強く、引き締めたといえる。

韓国・プサン市のクポ市場

クポ市場(筆者撮影)

続いて2015年の夏、プサン市のクポ市場に足を運んだ。ここも大規模な市場でさまざまな食材が売られている。モラン市場とは違い、一年中開かれている。

犬肉が売られているゾーンは比較的人通りが少なかった。少し影のある雰囲気になる。

お店の前のテーブルには、内臓を抜かれて丸焼きにされた犬が並べられている。エプロンをつけた女性たちが、ナタのような包丁でガンガンと肉を叩き切っている。

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