韓国と中国の「犬を食べる文化」は悪なのか 犬肉料理を振る舞う地域を実際に回ってみた

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夏至のシーズンは、飼育されている犬だけでは間に合わず、ペット泥棒が出るというウワサがある。その話題にも触れてみた。

「最初こそペット泥棒は良くないと批判が出た。だけど、犬を飼っている人たちは大体マナーが悪い。鳴かせるし、糞もさせる。だからペット泥棒がさらってくれて、静かになって良かったとみんな喜んでいる。だから今は文句出ない」

さすがに逆に泥棒に感謝しているという話はいかがなものかと思う。

実際に中国国内ではペット泥棒が横行しているならば、それは大きな問題だと思うし、阻止する手立てをしなければならないと思う。

以上が、実際に犬肉料理を食べている地域を取材したレポートだ。

ブタやニワトリと犬の命は何が違うのか

現在ネットで流れている記事は基本的に犬肉食には反対のスタンスだ。

「犬肉祭りの10日で10万頭の犬が殺されます」「韓国では年間200万頭の犬が消費されます」とまるで“だから犬肉食はいけない”と言うかのように書かれた記事も見つけた。廃止を求める署名が100万を超えたと報道する記事もあった。

現在日本では、月に100万頭以上のブタが出荷されている。ニワトリはもっと多いだろう。ブタやニワトリと犬の命は何が違うのだろうか?

「犬は可愛いから殺すな」

これは単に主観的で感傷的な話でもある。もちろん、家畜に対する残酷な仕打ちや、ペット泥棒は取り締まらなければならないと思う。しかしそれと、犬肉を食べるのをやめることとは別問題だ。

うなぎは養殖といわれているが、実際には野生の稚魚をとって育てている。つまり野生動物だ。年々、稚魚の漁獲量は減少し、今年は前年の1%まで減っている。もう絶滅寸前だと考える人も少なくない。それでも今年も土用の丑の日にはキャンペーンをしてうなぎを食べるのだろう。そして数年後にうなぎは地球上から姿を消しているのかもしれない。

はたして犬肉を食べることと、うなぎを食べること、どちらが問題だろうか? 僕には正直、「犬肉を食べてはいけない理由」はわからない。

村田 らむ ライター、漫画家、カメラマン、イラストレーター

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むらた らむ / Ramu Murata

1972年生まれ。キャリアは20年超。ホームレスやゴミ屋敷、新興宗教組織、富士の樹海などへの潜入取材を得意としている。著書に『ホームレス大博覧会』(鹿砦社)、『ホームレス大図鑑』(竹書房)など。

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