中国で「飲食店のドタキャン」が起きない理由 テクノロジーが「不信社会」を塗り替える
中国で「キャッシュレス化」が急速に進行している。その実態を知るとあっと驚くかもしれない。
過去記事でも紹介したが、中国は、大都市から内陸部に至るまで、スマホ1台あれば、交通でも食事でも、どんな支払いも決済アプリで簡単にできる「超キャッシュレス社会」に変貌した。最近、アリババ集団では「顔認証だけ」で決済ができるサービスまで開始したという。日本ではなかなか考えられないことだ。
「不信社会」だったからこそ
そもそも中国の画期的な決済手段といえば2004年に登場したアリペイが最初だった。ショッピングサイト「淘宝(タオバオ)」の決済サービスとして始まり、現在ではウィーチャットペイと並び、中国人のスマホ決済手段として欠かせないものとなっている。
アリペイの仕組みは至ってシンプルだ。まず消費者が商品を注文し、スマホからアリペイに代金を支払う。アリペイは販売者に注文の連絡をし、販売者は商品を発送する。消費者は受け取ると、商品に問題がないか確認してアリペイに連絡。そのまま購入する場合は、アリペイから販売者に代金が支払われ、不満なら返品するとともに、代金もアリペイから戻ってくる。
つまり、販売者に直接支払うのではなく、消費者と販売者の間にアリペイをはさむことによって成り立っているビジネスだ。米国発の決済システム、ペイパルと同じで、消費者が商品や決済に関して取るリスクを最小化する。
なぜ、アリペイが中国でここまで受け入れられ、利用されるようになったのか。答えは簡単だ。中国は他人を信用できない“不信社会”だったからである。
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