授業時間拡大で学力が上がるとは思えない
しかし、ゆとり教育による学力低下が指摘され、「土曜授業」の復活を求める声が噴出し、文部科学省は今年3月に「土曜授業に関する検討チーム」を立ち上げて推進しています。
ボクの実感からすると、たかが10数パーセントの授業時間拡大で学力が上がるとは思えません。
実際、日本よりはるかに授業時間の長いイタリアは、学力ランキングではかなりの下位に位置しています。2003年の調査ではありますが、OECD(経済協力開発機構)加盟34カ国で、小学校6年間の授業時間が最も長いイタリアは、国際学力調査(PISA)で、数学的リテラシー、科学的リテラシー、読解力がいずれも20位台と低い。
つまり、授業時間をのばすのではなく、豊富な教材で、効率よく学習するほうが大事なのです。
土日の使い方は、生徒の主体性に完全に任せましょう。早いうちから「これからの社会をどう生きればよいか」をしっかり考えさせてくれるような授業を組み込み、その授業を受けたのであれば、土日をどういう用途に使ってもよいことにしましょう。
どうしても生徒をしばりたい学校は、土曜日全体の日数の20パーセント以下であれば、質の高い特別授業をしてもよいでしょう。灘校の特別授業「土曜講座」の比率が20パーセントです。
ただし、学校教員ではなく外部の有識者らを招聘し、複数の授業を用意して選択制にすべきです。もはや、ひとつのカリキュラムを押しつけるだけで、いい人材が生まれるような簡単な社会ではなくなっていますから。
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