ぐっちーさん「日本は環境テロリスト寸前」

2018年、知っておくべき「2つの大潮流」

しかし、いざ、まずはエネルギーを使わない、断熱技術を取り入れた住宅を作ろうとしても、モデルになるようなものは皆無です。すべてゼロから地元の工務店の方がアメリカや欧州で手弁当で学んできて、それを試行錯誤しているのが現状なのです。まともな比較基準すらありません。

それはそれで紫波町の工務店の将来のビジネスキラーコンテンツになるので、喜ばしいことではありますが、これだけ世界の流れがはっきりしているのに、住宅建材としては最もエネルギー効率の悪いアルミサッシを売りまくっている日本の大手建材メーカーや、それを多用する大手住宅メーカーは「世界の環境テロリスト」、として名指しされる日もそう遠くないかもしれません。

というか、なぜ技術も資本もある彼らこそ、先頭を切ってやろうとしなかったのか(少なくとも2011年の時に始めていれば今頃世界トップシェアを占めることはそれほど難しくなかった)不思議でなりません。ワタクシのような中小企業の社長にでさえこの潮流の変化は明らかで、わざわざリスクを取ってアメリカで事業を始めたくらいですから、多くの駐在員をアメリカに送っている日本の大手企業にとって取り上げるには極めて容易いテーマだったはずです。しかし、今でもまだ「勘違い」している人が多い、というのが日本の現状です。

今や「省エネこそが、大きな利益を生む時代」に

例えばワタクシがこういう話をすると「うちの本社および事業所はすべてソーラー発電をやっておりまして……」と胸を張る1部上場企業の社長がたくさんおられるわけです。「では、御社の物流や営業などの自動車なども含め全体的なDecarbonizationをどうされていますか」、と伺うと、何を質問されているかすらわからない、というケースがほとんどで、脱炭素=自然エネルギー開発、という狭い思考回路に拘泥しています。

ここでは、「ランニング」という視点(使うものと生み出すもののコストとプロフィットのバランス、つまり収支)という視点がすっぽり抜け落ちてしまっており、省エネ、しかも今までやったこともないようなレベルまでやらないと、この再生エネルギーの初期投資は間違いなく赤字になる。そうするとカネがかかるから、やっぱり再生エネルギーはだめね……となるのが、日本企業のこれまでの悪循環なのです。

実は断熱などの省エネは、すぐさま光熱費の減少という形で「おカネになる」ので利益につながり、まさに先のNHKのドキュメンタリーでウォルマートの幹部が言っていたように、これ(省エネ)こそ、大きな利益を生むための投資だ、ということが全く理解できていない、と言えましょう。再生エネルギーに投資ばかりしていても、企業としては収支があわないです。

先ほど書きましたように、こうした脱炭素(Decarbonization)を目に見えた形で達成していない会社はここ数年で間違いなく世界の市場から追放されます。市場からの締め出しはおろか、資本も集まらず、あっという間に「テロリスト企業」というレッテルを張られます。ビール会社から自動車会社に至るまで、日本の大企業は急いで取り組まねば、世界の市場から追い出される、ということだけははっきり申し上げておきます。「トヨタ自動車のプリウスがエコだ」、なんて言っているうちに、世界はさらにその先に向かっていることをくれぐれもお忘れなきよう……。

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