あけましておめでとうございます。
2017年は、6年連続となる株価上昇の年であり、日経平均株価で見た上昇率は約19%と、2割に近かった。機関投資家が、運用計画を作る際に国内株式に対して期待リターンは5%程度だから、4年分くらいのリターンが実現したことになる。多くの投資家にとって、「いい年」だっただろう。また、1月4日の大発会も景気良くスタートした。
さて、2018年の相場は……、と続けたいところだが、今回は少々話題を変えてみる。筆者は日頃、おカネをどう運用して増やしたらいいかについて書くことが多いのだが、今回はおカネの「使い方」について考えてみたい。
「地位財」におカネを使いすぎていないか?
個人のおカネの問題は、(1)よく稼ぎ、(2)計画的に貯めて、(3)正しく運用し、(4)計画的に取り崩す、シンプルな手順で解決できるのだが、意外に難しいのが、運用の前提になるおカネを計画的に「貯める」プロセスだ。
おカネを「貯める」ことは、おカネを「使う」ことと裏腹の関係にある。つまり、稼いだおカネを、現在の消費と将来の消費のための備えに振り分けることなのだが、おカネの使い方を自分でコントロールすることが意外に難しいことは、多くの読者が感じているところではないだろうか。
おカネを使い過ぎてしまう理由は、人間の近視眼的な時間選好(すぐに実現できるものを過大評価する傾向)など、複数あるが、重要なものの一つが、「地位財」への過大支出だ。
筆者が、「地位財」の概念を知ったのは、経済学者ロバート・H・フランク『幸せとお金の経済学』(金森重樹監訳、フォレスト出版)でだが、地位財とは、たとえば家や自動車、着る物、子どもの教育のように、「持ち主」の社会的な地位の表現と深く結びついている財のことで、これに対する支出を抑えることが、できそうに思えても、なかなか難しい(誰にとっても、だ)。
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