ぐっちーさん「日本は環境テロリスト寸前」 2018年、知っておくべき「2つの大潮流」

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その時に日本は、原発を止める代わりに、石炭火力発電にも目を向け、「燃焼効率のよい日本のガスタービンを使えば30%もエネルギー効率を上げることができる!」などとやって、今でも経済産業省の事実上のバックアップで、世界中に火力発電用ガスタービン発電機などを売ろうとしています。

潮流を読めない日本の大企業が、けちょんけちょんに

これが世界の笑いもの(怒りの対象)になっているわけです。「世界中でどうやって化石燃料を燃やさないですまそうか、と考えているのに、今さら石炭火力発電機などを売っている場合じゃない。どうやったら『脱炭素』を達成できるのか本気で考えろ」、と今回のCOP23では、日本企業はけちょんけちょんに叩かれました。

世界中で炭素を燃やすことはやめよう(中国でさえ5年で800基以上も予定していた石炭火力発電の増設をストップしているし、フランスも石炭発電所の全廃を発表しています)と舵を切っている時に、その石炭を燃やすパワープラントを輸出促進しようとしているのは誰だ、と名指して非難されました。

また、COP23が始まる前は多くの日本大企業の幹部が「環境問題で進んでいる日本の技術を活用してもらえば世界に貢献できる」などとテレビで語っていましたし、特に重電機メーカーの役員は、世界中の石炭火力発電機を日本製のガスタービンに変えればエネルギー効率を30%以上上げられる、と胸を張っていました。

繰り返しますが、世界中が石炭を燃やすことをやめようとしているときに、まだましなものがある、と言ってこれを推進するのはこれこそ時代錯誤、下手をすると詐欺師、と言うべきでしょう。世界の評価は「日本は技術力があるのに、なぜ脱炭素にその技術を活用しようとしないのか」ということであり、この総会でも実際に世界中から非難が集中。脱炭素における「周回遅れのランナー」と呼ばれました。つまり、日本はいまだにガスタービン重電機を売りまくる「悪の商人」……でありまして、言い方はよくないかもしれませんが、核拡散に走る北朝鮮と「2大悪」と呼ばれる日も、そう遠くないかもしれません。

実際に、この時のドキュメンタリーをNHKが放送していて、意気揚々と日本のエネルギー節約技術を世界中にプレゼンしようと乗り込んでいった某企業の幹部が、「日本はそんなことをやっている場合ではないのではないのか、どうして脱炭素に本気で取り組まないのか」、とやり込められ、半泣きになっている姿は印象的でした。

アメリカから日本に帰ってきてみると、多くの日本人が「日本の環境技術は進んでいる」と勘違いしているのにびっくりします。実際われわれは、日本でも岩手県・紫波町の「オガールプロジェクト」で断熱技術を多用した脱炭素体育館を作りましたし(エアコンの実働は年間10日にも満たない)、今その断熱技術を駆使した住宅の販売に力を入れているところです。

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