26歳「発達障害」の彼がやっと見つけた天職 引きこもり、入院、いじめられた過去も

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「学年が上がってクラス替えが行われ、担任の先生も変わりました。僕は入院のため3カ月間学校にいなかったので、一瞬存在を忘れられた状態になっていたんですね。だからだとは思いますが、『宮長はちょっと心の病気があるけど仲良くしてやってほしい』みたいな言い方で僕をみんなに紹介したんです。そうすると、クラスの人たちの僕を見る目が一瞬にして変わりました。それで、教室にいづらくなってしまい、再び不登校になってしまいました」(宮長さん)

また、宮長さんには元々軽い吃音があった。それも関係し、コミュニケーションを取ることが難しい場合もあった。今回はSkypeでの取材であったが、宮長さんがWebカメラを持っていないということで音声のみ。相手の顔が見えない会話だとなおさら、自分がしゃべるタイミングがわからなくなり、相手が話す番のときに話し始めてしまい、会話のテンポがつかめないのが悩みだという。

確かに、何度か会話と会話の間に沈黙があったため、私はネットやスピーカーの調子が悪いのだと最初は思い込んでしまい、宮長さんへ「聞こえますか?」と問いかけた場面もあった。

このように、コミュニケーションが円滑にいかないこともあるため、宮長さんを馬鹿にしていじめるクラスメイトもいた。ある日、宮長さんはついに我慢の限界に達し、彫刻刀を持ち出してそのクラスメイトの前で振りかざしてしまう。慌ててほかのクラスメイトが止めに入って何とかその場はおさまった。「今思うといじめではなく、からかっていただけなのかも」と宮長さんは語ったが、本人が傷ついていたらそれはいじめである。

恩師に出会い人生が好転

中学卒業後は、地元から少し離れたIT系の専門学校の高等課程(通信課程も含まれている)に入学した。知り合いがまったくいない環境だ。ここで宮長さんは恩師に出会う。

「1年の最初の頃はやはり引きこもり気味でした。でも、担任の先生が発達障害とか関係なく、普通にほかの生徒と同じよう平等に扱ってくれたんです。その先生は『お前たちを、当たり前のことを当たり前にできる人間に育てる』とおっしゃっていて、それに感銘を受けました。社会人でも当たり前のことができない人っているじゃないですか。通信課程もあるため、ある意味少し問題のある生徒が集まることもあり、そういう話をされたとは思うのですが、僕はこの先生のおかげで立ち直れました」(宮長さん)

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