大人の発達障害が疑われる人が持つ脳の特徴 意識して鍛える方法はある
俳優でモデルの栗原類さんが今年5月、NHK「あさイチ」で発達障害であることを告白し、話題を呼びました。
主な発達障害は「自閉症」「高機能自閉症」「学習障害(LD)」「注意欠陥/多動性障害(ADHD)」「アスペルガー症候群」などが挙げられます。いずれの症状も基本的には、中枢神経系に何らかの要因による機能不全があると推定されています(文部科学省HPより)。
発達障害は、いまや子どもだけの問題ではありません。知的発達には問題のない大人でも、社会の中で生きる困難さを体験してからようやく、「自分は発達障害かもしれない」と疑いを持つケースがあります。
一方で、大人の発達障害の症状は、人と目を合わせにくくなったり、朝寝坊しやすかったりなど、健常者でもあり得る症状を示すことがあるため、医師でも診断が困難な場合が多く認められます。さらに、外来では症状に気づきにくいことから、明確に診断できる医師は少なく、また診断や投薬の指示ができたとしても、一人ひとり異なる症状に対して、なぜそうなっているか、どうすれば悩みが解決するか、説明してくれるところはほとんどないのが現状です。
私はMRI(磁気共鳴画像)という技術を使って、1万人以上の脳画像を分析してきた結果、発達障害が疑われる代表的な脳の特徴を発見し「海馬回旋遅滞症」と名づけ、子どもだけでなく大人の発達障害の支援を行ってきました。本稿では、拙著『アタマがみるみるシャープになる!脳の強化書』から、この「海馬」のメカニズムをご紹介し、具体的な対処法をまとめてみたいと思います。
原因は海馬とその周囲の発達の遅れ
何度同じことをやっても身に付かない。人との交流が深く発展しない。自分の感情がコントロールしにくい。すぐに一方的に怒ってしまう。周囲の環境になじめない。不器用。タイムマネジメントができない。記憶力に不安がある。自分には心当たりがないのに上司や家族から責められる……。発達障害が疑われる人の症状はさまざまですが、その主な原因は、脳の中にある海馬の発達の遅れ「海馬回旋遅滞症」にあると考えられます。発達障害はコミュニケーション障害に知的障害を合併することから、海馬とその周囲の成長発達の問題と仮説を立てられるからです。
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