「ズルい生活保護者」には働けないワケがある 人が「貧困」に陥る3つの無縁と3つの障害

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飲んだくれている生活保護受給者は「ズルい」のか?
前回の記事(若い貧困者が「生活保護はズルい」と思うワケ)ではK君に生活保護の必要性を肌感覚で理解してもらうため「連れション」のたとえ話を使ったが、あえなくはね返されてしまった。果たして、働「け」なくなっている人たちを社会がケアする根拠と方法について、K君に納得してもらうことはできるのか。本記事はK君への説諭の後編である。

 

まだ現役年齢なのに生活保護を受けつつ飲んだくれていて衛生観念のない祖父。その保護費を横取りして男を渡り歩く母。聞けばK君が「そもそも生活保護なんてズルい」と言い切ってしまう気持ちもわからなくもないのだが、ここで話を終えるわけにはいかない。

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なぜなら、話を聞いた記者である僕自身がその祖父や母親を直接知っているわけではないし、あくまで孫であり息子のK君を通しての情報しか知らないからだ。たとえK君がこうした生い立ちを話してくれるまでに何度もの取材を要して、それが過去の治りきらぬ傷から出る血膿のような話だったとしてもだ。

誘導的に質問を続ける。同情できる要素などいっさいなさそうなその祖父に、いいところはなかっただろうか?

「あんな汚いジジイにいいところなんかあるはずないですよ」と言うK君に、あらためて記憶を掘り出してもらうと、ずいぶんと考え込んだ後にK君は話し始めた。

「そういえば、中学で初めてアイパーかけたときに、カネ出してくれたのはジジイでしたね。隣町までバスで行かないとアイパーやってる床屋がなくて、バス代もくれました」  

ケガをして働くことをやめた祖父

酒を飲んで暴れるということはなかったのだろうか?

「気分屋だったんで、酒飲むと上機嫌になって語り出すか、めそめそ泣くかですね。マジかっこ悪くて同情なんかできないけど。上機嫌のときの話は、若い頃にあちこち登山して回った話とかです。泣くっていうのは、だいたい死んだばあちゃんのことですね。俺は見たこともないけど、ばあちゃんはうちの母親がガキの頃に白血病で死んだらしい。そのあとジジイはケガしたこともあって働くのやめちゃって。それでスゲー貧乏になったらしいんですけど」 

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