大人の発達障害が疑われる人が持つ脳の特徴 意識して鍛える方法はある

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脳の記憶をつかさどる部位である海馬は、胎児のときから、回転しながら発達しており、右の海馬のほうが、左の海馬よりも少し速く発達することがわかっています。このとき、左の海馬の発達のスピードが極端に遅れることがあり、この遅れが、さまざまな脳の発達障害や、性格の特徴、コミュニケーション障害などを生み出していると考えられます。

現在、「海馬回旋遅滞症」はMRIによる脳画像で比較的簡便に診断することができるようになりました。このとき、大切なのは「今の自分の脳がどういう状態にあるのか」を知り、そのうえで、「これからどうすればいいのか」対策を立てることです。

具体的には、脳の中の海馬というわずか5センチの器官が未発達だったとしても、その周辺の脳を成長させていくことが、私は、この「海馬回旋遅滞症」をカバーする非常に有効なアプローチだと考えています。

海馬に直接影響を及ぼす感情系脳番地とは

脳には、1000億を超える神経細胞がありますが、これらは同じ働きをする細胞同士で「基地」をつくっています。この基地と、そこに集まっている脳細胞のことを、私は「脳番地」と呼び、大きく次の8つに分類をしています。

①思考系脳番地――人が何かを考えるときに深く関係する脳番地
②感情系脳番地――喜怒哀楽などの感情を表現するのに関与する脳番地
③伝達系脳番地――コミュニケーションを通じて意思疎通を行う脳番地
④理解系脳番地――与えられた情報を理解し、将来に役立てる脳番地
⑤運動系脳番地――体を動かすこと全般に関係する脳番地
⑥聴覚系脳番地――耳で聞いたことを脳に集積させる脳番地
⑦視覚系脳番地――目で見たことを脳に集積させる脳番地
⑧記憶系脳番地――情報を蓄積させ、その情報を使いこなす脳番地

 

このなかで、海馬が所属するのが⑧の「記憶系脳番地」であり、この部位と密接にかかわるのが、②の「感情系脳番地」です。「感情系脳番地」は、脳の側頭葉にあり、「記憶系脳番地」のすぐ前方に位置します。感情を大きく揺さぶられた出来事が記憶に残るように、この「感情系脳番地」の影響は、「記憶系脳番地」にダイレクトに作用します。そのため、感情のコントロールを強化することで、海馬にプラスの影響を与えることができます。

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