内閣府が2017年12月4日に発表した11月の消費動向調査によると消費者心理を示す一般世帯の消費者態度指数(季節調整値)は前月比プラス0.4ポイントの44.5と、4年2カ月ぶりの高水準となった。10月分では、内閣府は基調判断を前月までの「ほぼ横ばいとなっている」から「持ち直している」へ上方修正。「株価の上昇などを受けて心理が好転したとみられている」といった報道もあった。
もっとも、この統計発表に接して違和感を覚えた方も多いのではないだろうか。景気回復には実感が伴っていないという指摘も多い。
消費者態度指数は1982年6月の統計開始以来の平均が41.7で、2000年3月以降の平均が41.3、郵送調査に変わった2013年4月以降の平均が42.2となっており、足元の水準は高水準といえる。
「水準」でなく「方向性」の調査、中心回帰性に注意
このような「指数と実感のズレ」を説明することは容易ではない。しかし、1つ考えられる要因は、消費動向調査は経済環境などの「水準」を調査しているのではなく、「変化の方向」に関する調査であるということだ。
たとえば、消費者態度指数を構成する消費者意識指標のうち「暮らし向き」の設問は以下である。
「あなたの世帯の暮らし向きは、今後半年間に今よりもよくなると思いますか、悪くなると思いますか」
指数は「良くなる」に1.0、「やや良くなる」に0.75、「変わらない」に0.5、「やや悪くなる」に0.25、「悪くなる」に0.0の回答比率を乗じて作成されている。たとえば、すべての回答が「良くなる」の場合は100となり、「変わらない」の場合は50、「悪くなる」だと0になる。
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