いよいよバブルは「終わりの始まり」なのか 米国ハイイールド市場の不気味な兆候とは?
足元で米国のハイイールド債の市場に異変が起きている。ハイイールド債とは信用力の低い会社が発行する債券のことである。信用力が低い(=リスクが高い)ために金利が高く設定されており、高利回りを求める投資家に選好されている。
異変とは米国ハイイールド債のスプレッド(信用リスクに応じて米国国債に上乗せされる金利の幅)のワイド化(拡大)である。スプレッドのワイド化は債券価格としては下落を意味し、倒産の可能性が高まったときに起こる。
ハイイールド債は金融市場が崩れるときは、真っ先に売られるといわれる。ハイイールド市場でスプレッドのワイド化が起こるたびに、機関投資家の間ではいよいよ終わりの始まりかという声が聞こえるが、実際のところはどうなのだろうか。
実は今回はやばい兆候に思えて仕方がない。
今回のワイド化は原因がはっきりしない
まずはここ1年程度のスプレッドの動きをみてみよう。
米国ハイイールド市場のスプレッドのワイド化=債券価格の下落は今年に入ってから2回ほどみられたが、いずれも理由がはっきりしていた。3月は原油の下落で、8月は北朝鮮の地政学リスクである。
今回に関しては、トランプ政権の税制改革の遅れ、米国のテバ社(製薬会社)の格下げやスプリント社の合併中止、サウジアラビアの政治リスク、FRB(米国連邦準備制度理事会)による利上げ観測、中国の債務問題、単なるハイイールド市場からほかの市場への資金流出などの要因であるが、いずれも後講釈的な感じで直接の原因ではないように思える。
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