「米ぬか繊維」は足のガサガサの救世主だった サッカー用靴下の大手が開発した機能性繊維

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左からみどりさん、社長、会長(写真:鈴木靴下)

そのみどりさん、元CAでしたが、「歩くぬか袋」がヒットして家業が忙しくなったこともあり、会社を手伝うことにしました。最近の心配は、「鈴木靴下」創業者の祖父(現会長・鈴木勇一氏)の足のむくみです。通常の靴下のゴムを切っても痛そうで、ゴムなし靴下でも「きつい……」と言います。祖父が笑顔になる締め付けない靴下を作りたい、と社長である父や従業員と共に開発を進めました。

試作品を作っては「おじいちゃん、どう?」と履いてもらいました。そして試行錯誤の末、ようやく祖父の満足する靴下が出来上がりました。本当に満足するものでないと納得しない祖父が、今ではその靴下しか履かないそうです。

この優れモノを、足のむくみで悩む世のおじいちゃん、おばあちゃんにも提供しようと考えました。柔らかな履き心地で締め付け感がなく、ずれにくい特殊構造になっています。もちろん素材は、「米ぬか繊維SK」です。商品名は、「締め付けない靴下 おじいちゃんいかがですか?」(女性用は「締め付けない靴下 おばあちゃんいかがですか?」)にしました。開発中、みどりさんと社長の口癖になっていた「おじいちゃん、どう?」が由来です。ユニークなネーミングですが、ご老人方へのわかりやすさを優先しました。

開発に数千万円を要した自信作

祖父母着用(写真:鈴木靴下)

鈴木社長は「米ぬか繊維は肌に優しく、これ以上の糸はできない。開発に数千万円を要した自信作です」と言います。そして米ぬか繊維は、肌の乾燥や静電気、そして生地の滑らかさなどから、アトピー対策にも有益です。静電気が体にたまるとホコリが肌に付着してアトピーの原因となりますが、こちらは帯電性が低いのでその心配が少ないのです。2011年から、「米ぬか繊維SK」を使った多くの商品が「日本アトピー協会推薦品」となっています。

「米ぬかは子どもがなめても安全で、環境にも優しい。新開発の靴下は、おじいちゃんおばあちゃんにぜひ履いてほしい。今後も、お客様の悩み解決といったテーマを明確に掲げ、中小企業のモノづくりの底力を発揮していきたい」と鈴木社長。

古来、横綱の綱は、米ぬかと共にもみ込むことで柔らかくなりツヤが出るのだといわれてきました。日本の国技にも陰ながら貢献しているのです。米ぬかという日本独自の素材を生かして、鈴木靴下がグローバル化の荒波を力強く乗り切っていくのを期待したいと思います。

竹原 信夫 日本一明るい経済新聞 編集長

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たけはら のぶお / Nobuo Takehara

有限会社産業情報化新聞社代表取締役(日本一明るい経済新聞編集長)。1971年3月、関西大学社会学部マスコミ学科卒、同年4月にフジサンケイグループの日本工業新聞社に入社。その後、大阪で中小企業担当、浜松支局記者などを経て、大阪で繊維、鉄鋼、化学、財界、金融などを担当。1990年4月大阪経済部次長(デスク)、1997年2月から2000年10月末まで大阪経済部長。2001年1月に独立、産業情報化新聞社代表に。年間約500人の中小企業経営者に取材、月刊紙・日本一明るい経済新聞を発行している。
 

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