この頃東京にいると、来る日本の総選挙は何についての選挙でもないように思われてくる。もちろん安倍晋三首相は、何か――北朝鮮か、税か――についての選挙にしようと試みているが、これは明らかに彼自身についての選挙だ。
そして、小池百合子東京都知事は、これは希望についての選挙だと言っている。しかしそれはおおむね、権力を得たいという彼女の希望を意味しているように見える。おそらく、選挙運動すべき真の争点を唯一持っているのは、立憲民主党であり、彼らはこの選挙を、憲法と安全保障についての選挙にしたがっている。だが、この党が日本を統治できる日は程遠い。
選挙結果によって日本が変わることはない
表面的な意義の不在にもかかわらず、誰が日本で権力の座に就くかということは、依然として米国にとっては重要である。北朝鮮危機や中国の台頭が続く中で、強く安定した日本は、米国の安全保障・外交政策にとって必要不可欠だからだ。
こうした状況下、首都ワシントンのドナルド・トランプ政権界隈にいる人々は、この選挙にどのような見解を持っているだろうか。 政策立案者たちは、この選挙を意識しているだろうか。 何が起こると予想しているのだろうか。そして、安倍首相が退陣するとなれば、それは日米関係にとって何を意味することになるだろうか。
筆者はこれらの疑問を、政権内部の人間を含む、ワシントンの選り抜きの日本通たちに聞いて回った。その総意は驚くようなものではなかった。日本専門家はもちろんこの選挙を注視しているが、日本の選挙結果を米国人のほとんどは気にしておらず、それは政府内も同じことだ。しかし、それは米国の政策立案者のほとんどが、日本では何の変化も起きないだろうと、想定しているからである。
「日本の選挙が、ここワシントンで大きな注目を集めているとは思わない」と、かつて国務省に勤めた経験も持つ、米国笹川平和財団を率いる老練な日本通、ジェームズ・ズムワルト元駐日臨時代理大使は言う。「選挙の結果として、日本の対米政策や日米関係に大きな変化が起こると予測している人は多くないからだ。中国の(18日から始まる)共産党大会や最近の北朝鮮の行動のほうが、はるかに、はるかに大きなニュースだ」。
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