「改革のジャンヌダルク」は「傾国の魔女」に 希望の党「想定外と誤算」の果てに首相高笑い

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「小池氏は牡丹のように散る」などと自民は高笑い?(写真:ロイター/Issei Kato)

候補者と有権者のそれぞれに「期待と不安」や「涙と笑い」をもたらしている平成最後(?)の衆院選も、あと1週間で国民の審判が下る。10日の公示後にメディア各社が投票動向調査をもとに相次いで報じた全国情勢は、そろって「自民勝利・希望失速」だ。公示日までテレビジャックを続けた小池百合子都知事(希望の党代表)主演の"小池劇場"が逆目に出て、希望の党は自ら仕掛けた"空中戦"できりもみ状態となり、小池氏のおひざ元の東京でも苦戦が際立つ。

逆に危機感丸出しで「愚直に誠実に」の一点張りで防戦に努める安倍晋三首相(自民党総裁)が率いる自民党は、野党潰し合いの漁夫の利で「1強継続」の扉を開きつつある。このままなら「安倍vs小池」という2人の主役が演じる"選挙劇場"は、敵役の首相が笑い、主人公のはずだった小池氏が泣くという「想定外と誤算の果ての大団円」となりそうな雲行きだ。

序盤戦調査で躍る「希望失速」の見出し

選挙報道の中心となる全国紙や通信社、各テレビ局は単独、あるいは連携して公示直後の全国各小選挙区の情勢や比例選での投票動向調査をもとに分析し、その結果を12日に公表した。

各社の見出しは「自民堅調 希望伸びず=立憲に勢い=」(朝日)、「自公300超うかがう=希望伸び悩み、立憲に勢い=」(毎日)、「自民単独過半数の勢い=希望伸び悩み、立憲民主は躍進公算=」(読売)、「与党300議席に迫る勢い=自民単独安定多数も、希望選挙区で苦戦=」(日経)、「自公300議席うかがう=立憲民主倍増も、希望伸び悩み=」(産経)といった具合だ。

調査結果のいわゆる「生数字」は伏せているが「40~50議席」という大幅減も予測された自民党が微減の270議席超で、「政権交代」を狙ったはずの希望の党が公示前勢力(57議席)割れも有り得るというのが大方の予測。選挙戦の最大の焦点である「安倍vs小池」も明暗が大きく分かれる結果だ。

ただ、序盤戦とあって、各社とも見出しの付け方は「自民単独過半数(233議席)」とか「自民単独安定多数(244議席)」をキーワードとするなど慎重さも目立つ。これまでも序盤情勢調査で安泰とみられていた自民党が、首相や幹部の失言などで逆風にさらされて、最終的に大きく議席を減らしたケースがあるからだ。選挙戦の司令塔の二階俊博自民党幹事長も「これでいい気になって活動を緩めたら、すぐ情勢は変わる」として、すぐさま「実際の情勢は厳しい、最後まで全力投球せよ」と各県連に檄を飛ばすなど、引き締めに躍起だ。

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