「大つけ麺博」が1杯500円に切り替えたワケ 熱狂するラーメンイベントに漂う不満と役割

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ただ、出店者にとっては悩ましさもある。客単価が安いので、杯数をこれまでよりもたくさん出さなければ収支が悪化してしまう。ラーメンイベントの中には、ゆっくり作ることで行列を意図的に作り、人気があるように見せかける手法を取るお店もあるが、1杯500円となるとそうもいかない。今年の大つけ麺博ではこの手法を全面的に禁止しているそうだ。

本来のラーメンイベントの趣旨

見た目にもさみしさはない(写真:筆者提供)

そもそもラーメンイベントへの出店自体で儲けるケースは少ないとみて、目的をお店の名前を売るため、投じるのはマーケティング費用と割り切っているお店も多い。大つけ麺博実行委員会の井上淳矢氏は「ラーメンイベントは『お気に入りの1杯に出合うためのお祭り』であるべき。イベントでおいしいと思ったお店に実際に行っていただくのが本来のラーメンイベントの趣旨だと思います」と話す。

それとは別の次元で、出店者側にとって、ラーメンイベント自体の目新しさが薄れてきつつあるのは悩ましい。全国各地でこれだけの数のイベントが開かれると、飽和を感じざるをえない。ラーメン店の数も飽和状態にある今、イベントに足を運んでまでラーメンを食べたいというファンは一定数に限られてくる。今後は各イベント同士でパイを奪い合う中で淘汰が進むかもしれない。

井手隊長 ラーメンライター/ミュージシャン

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いでたいちょう / Idetaicho

全国47都道府県のラーメンを食べ歩くラーメンライター。「東洋経済オンライン」「マイナビニュース」「AERAdot.」等の連載のほか、コンテスト審査員、番組・イベントMCなどで活躍中。近年はラーメンの「1000円の壁」問題や「町中華の衰退事情」、「個人店の事業承継」など、ラーメン業界をめぐる現状を精力的に取材。テレビ・ネット番組への出演は「羽鳥慎一モーニングショー」「ABEMA的ニュースショー」「熱狂マニアさん!」「5時に夢中!」など多数。その他、ミュージシャンとして、サザンオールスターズのトリビュートバンド「井手隊長バンド」や、昭和歌謡・オールディーズユニット「フカイデカフェ」でも活動。著書に「できる人だけが知っている 『ここだけの話』を聞く技術」(秀和システム)がある。

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