高級ミニカーに魅せられた男の並外れた情熱 知らなくてもいいが知ろうとしないのは罪だ

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—―「好きになる」のも編集者の仕事だと。

小林氏:この出版社で仕事をする前から、すでに編集者として10年近く「好き」を仕事にしていましたが、さまざまな雑誌作りの仕事に取り組ませてもらったおかげで、「好き」だけでなく、さらに「興味を持って仕事をすること」の重要性を学ぶことができたと思います。ただ結果的に、これが編集者としての仕事から離れることへのジレンマともなっていったんです。さまざまな仕事を経験させていただく中で、徐々に雑誌づくりの現場から離れ、どちらかというと数字を見る(それも大事な雑誌づくりの仕事だと思いますが)ことが増えていったんです。

ちょうどその頃が、MINIMAX社が、日本で新たに拠点を立ち上げようとしていた時期と重なっていました。Ripert(リペール)社長と日本代理店の社長から「人生一回しかないんですから、やりたいことやってみませんか」と直接のオファーを頂いた時は、心がグラグラと揺らぎました。まだ日本での展開をどのようにするか、ほぼ決まっていなかったので逆に「また現場にどっぷり浸かることができる」とワクワクする自分もいましたね。

「定年までなんとなく先も見えてきた。それよりもまだまだ、どうしても挑戦したい」と言えば聞こえはいいですが、実際は収入も激減しますし、将来は見えないしで、まわりからは大反対されました。しかし、高校生の頃に知り合い、人生の節目節目でいつも決断を後押ししてくれた妻は、諦め半分に「いいんじゃない? あなたはそうしたいんでしょう」と、この時も応援してくれたんです。私としては、「これからのふたりの老後を見据えたものだ」と力説していたのですが、確かに今振り返ると「自分が飛び込みたい気持ち」が、全面に出ていたのかもしれません。それをわかって認めてくれた妻には感謝してもしきれません。こうしてブラインドの会社から数えて3社、30年近く働いて、ようやく今の仕事に辿り着いたんです。

知ろうとすることで拓ける道がある

――「知ろうとする」ことで、世界を広げてきました。

小林氏:「知らないことは罪じゃない、だけど知ろうとしないことは罪だ」と、少なくとも編集者という職業においては、常にそうあるべきだと思って仕事に取り組んできたつもりです。また、今のお仕事は、決まった枠がなく、ひとりでさまざまなことに対応する必要があるので、おのずと今までの経験がすべて活きてくるものでもあります。今までの経験どれ一つ取っても、ムダは無かったと思っています。

――今、小林さんが「知ろう」としていることは。

小林氏:ライセンス契約の打ち合わせから、事務所のトイレ掃除まで(笑)、やりたいことも、やらなければならないこともたくさんあって忙しい毎日ですが、モデルカーについて「知りたいこと」はまだまだ、たくさんあります。なかでも「ニーズと認知度アップ」ですね。東京オートサロンなどにも出展していますが、「クルマ好き」と「モデルカー好き」の接点を広げたり、積極的に可能性を模索してアプローチしたりと、目論みはたくさんあります。まだはじまったばかり。今は、ゼロからのスタートに、雑誌編集者時代のライブ感を感じてワクワクしているところです。

可能性とチャレンジングな世界にいれることをこれからも存分に楽しみたいと思っています。ここに来てくれるお客さまは、私がはじめに車の雑誌で働いていたときの編集部の仲間のように、皆さまキラキラした目をしています。皆さん、車が大好きで仕方がない。舞台は雑誌からショールームに変わりましたが、すべての喜びをつくり伝える「編集者」として、これからもお祭りのようにたくさんの人々を巻き込んで「楽しさ」を伝えていきたいと思っています。

(インタビュー・文/沖中幸太郎)

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アルファポリスビジネス編集部

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