「大人の脳は成長しない」という大きな誤解 「勉強ができないのは遺伝のせい」もウソ

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脳のことを「客観的に見る」(写真:cuteimage / PIXTA)

ある日のことです。あなたは、小さな子馬をプレゼントされました。頭もよさそうだし、足も早い。でも、子馬を育てるのはなかなか大変! 急にご機嫌が悪くなったり、急に元気に走り出したり。なかなか気まぐれだからです。

しかし、よくよく子馬を観察していくうちに、だんだんと性格やクセがわかってきました。そしてあなたは子馬の能力を、存分に発揮できるようにしつけることができました……。

脳はあなたの子馬、「客観的」に付き合おう

実は私たちは同じような経験をしています。この子馬は「脳」そのもの。自分のものであるにもかかわらず、脳というのは気まぐれで、思いどおりには動いてはくれないのです。

みなさんは、こんな経験ありませんか?

・「勉強しなくちゃ」と思っているのに、机の上を整理してしまう
・「この仕事をしなきゃ」とわかっているのに、メールチェックをしてしまう

 

そうなのです。脳は私たちが「思うようには」動いてくれないものなのです。ですから、私は「脳との付き合い方を変えましょう」と皆さんに伝えています。子馬を育てるような気持ちで、脳のことを「客観的に見る」ようにするのです。そうすることで、なかなか気難しい脳との付き合い方が、わかるようになってきます。

私の専門は脳の画像診断で、MRIという磁気を使った大きな装置で人々の脳の画像を取り、それをデータとして蓄積し、解析をしています。蓄積されたデータとともに、その方のほかの情報も同時に収集しています。血液や唾液から「遺伝子」情報を、認知力テストで現在の「認知力」を、睡眠時間、食習慣、運動時間、飲酒、喫煙、趣味など多岐にわたる「生活習慣」に関しての情報を集めます。こうすることで、「どのような(遺伝)体質の人が、どのような暮らしをすると、どのような病気になりやすいのか」といったことがわかるようになってきました。

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