貧困や虐待に苦しむ子をどうしたら救えるか 理解してくれる大人と社会の受容が孤立防ぐ

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荒井:適切な役割分担をちゃんと見出していきたいなと思っていて。「コミュニティーユースワーカー」というものが支援の中にどう位置づくのかというところをきちんと設計していかなきゃいけないなと。

今、基本的には行政の人から紹介されたりとか、地域の人から紹介されたりとか、という形が今は多い。そうして紹介された子たちを適切に関わって、適切な場を作って、人とつなげるという形を今展開しているというところで。一年やってうまくいったところといかなかったところとたくさんあったんですけど。そういう反省を生かして3期生からリニューアルしてやっていくというのがこれからですね。

専門家との役割分担

:興味深いですね。とはいえ専門的なスキルも、という話があって。専門的なスキルはこういうケースで生きているな、こういう部分で生かしているなというのはどんな点ですか?

小澤:日常を一緒に作っていく人たちっていうのは、「この子の困難をなんとかしよう」という困難に目を向ける、というよりは、その子の持っている興味やストレングスを一緒に楽しんでいて、そのプロセスで困難がなくなっていく場合もあれば、結果困難がなんとかなるということもある。ただその時、もしその子の家庭が機能していなかったり、治療が必要な疾患があったり、10代で若年妊娠したという時に、その時のケアをどうするか、などというのは、それぞれ専門家との連携がすごく必要になるんですね。

子供の興味に目を向けて日常を紡いでいく人と、それでもなお起こるかもしれない緊急性や疾病性の予防や治療をしていく人と、その役割分担が「コミュニティーユースワーカー」と専門家の違いとしてあります。

:専門家というのは具体的に? 先生は医師としての経験を持っている?

小澤:はい。アドバイザーとして、臨床心理士さんとか小児科医さんとか、児童精神科医さんなどがいます。専門家のネットワークは今作っているところです。

:特に臨床心理士さんとかもお話を伺っていると、「自分たちのスキルがもっと日常の中に生かされるような場があればいいのに」とおっしゃっていました。

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