2シーズンぶりの競技復帰を控えた、フィギュアスケーター・安藤美姫。彼女がもう10年以上、ボランティア活動に熱心に取り組んでいることは、あまり知られていないかもしれない。
かつては自身のホームページで販売したリストバンドの売上金を、日本ユニセフに寄付。また日本介助犬協会を通し、介助犬とその飼い主をアイスショーに招待。東日本大震災時には、チャリティショーに率先して出演し、競技活動休止中には自ら企画したチャリティアイスショー「リボーンガーデン」を開催した。被災地支援は現在も続けており、石巻市(宮城県)の子どもたちと交流し、安藤家のピアノを被災小学校に寄贈するなど、特に被災児童の支援活動に心を傾けているようだ。
安藤自身は、自らの活動を積極的にメディアなどに発信することは少ない。しかし、「自分が少し表に出ることで、ボランティアを続けているみなさんの存在を、より多くの人に知ってもらえたら」と、今年は自らがインタビュアーとなり、いくつかの被災地支援団体を「取材」している。その模様は彼女の活動を報告するサイト、「リボーンガーデン」に詳しく、これまで、東北のみならずアフガニスタンやイランなどの復興支援をしている「NPO法人JEN」、福島県で被災ペットシェルターを運営する「NPO法人SORA」などを取材。今回は8月19日、
NPO法人ウィメンズアイの石本めぐみ代表理事に数時間にわたって話を聞いた。その内容のごく一部を、ここで紹介してみたい。
NPO法人ウィメンズアイは、被災地にて、特に女性たちの活動を支援している団体。代表理事の石本さん自身、震災直後は6カ月間も現地の学校の体育館に寝袋で寝泊まりし、支援活動のリーダーシップを取ったという。現在は、南三陸町(宮城県)や気仙沼市(同)などを中心に、被災地の女性たちが積極的に交流し社会に参加できるよう、手作り講座やシングルマザーの会など、さまざまなイベントを企画・運営。また手作り品の販売支援など、女性たちの自立を促すコミュニティビジネスのバックアップなどなど、幅広い活動を続けている(以下、対談)。
被災地で世話をしているのは女性
安藤:ひとつ素朴な疑問なんですが、ウィメンズアイさんが「女性支援」に特化していらっしゃるのは、なぜなんですか? 私は普段、子ども支援を中心にお手伝いさせていただいているんです。大人は自分で何でも判断できるけれど、未来のある子どもたちは、今は大人が支えて環境を作ってあげないといけないから。ウィメンズアイさんは大人の中でも、なぜ「女性」を支援の中心にされたんですか?
石本:そうですね。特に震災時、人々に守られなければやっていけない、被災のしわ寄せをいちばん受けるのは誰かといえば、体の不自由な方々、高齢者の皆さん、乳幼児、子どもたち……ですよね。でも、そんな方たちすべてのお世話「ケアワーク」に長けているのは誰か?
そのキーになるのは、実は地域の女性たちだったんです。女性が弱いから支援するのではなく、ほんとうに弱い人たちにアクセスするために、女性にもっと力をつけてもらいたい。そのためのサポートをして行く……。特に災害時にはそれが重要だということ、東日本大震災の時、あらためて痛感したんです。
安藤:ああ、そうですよね。小さい子やお年寄りの方に手を貸すのは、だいたい女性の役割ですよね。弱い立場の方たちを助けるには、まず女性たちが立ちあがる環境が整っていなければ、という見方……深いなあ。
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