評価されない「孤独な時間」が成功を導く理由

「才能の芽」を伸ばすためには何が必要か

親は子供の、教師は生徒の、上司は部下の、一人ひとりに秘められた才能を開花させてやりたいと願うものです。しかしながら、才能が花ひらく前の「助走期間」の間に、その人の才能を周囲の人間が適切に評価することは困難です。

良い教師は余計な口出しをしない

まだ評価の定まっていない才能に対して、周囲の人間ができることは、その人が時折見せる、(ある種狂気に満ちた)集中時間=ソロタイムをなるべく邪魔せず、見守ることだけだと私は考えます。

その人が何かに集中し、没頭することを邪魔しない、ということこそが、才能を開花させるという観点では、もっとも効果的なのです。

ただ、その一方で、子どもの才能を引き出す上で、親や教師がやるべきことがあります。それは、矛盾しているように感じるかもしれませんが「社会に適応する方法を伝える」ということです。

世の中には社会適応能力に欠けていたがために、才能を花開かせることができなかった「破滅型の天才」と呼ばれる人たちがたくさんいます。彼らがほんの少し、社会に適応することができていたら、どれだけ多くのものを生み出せたでしょう? 社会適応に失敗することによって、日の目を見ることができなかった才能というのは、少なくありません。

相対性理論を発表し、科学史に巨大な足跡を残した天才、アルバート・アインシュタインが大学の研究室に職を得たのは、30代になってからのことです。それまでの間、彼は、特許庁の職員という、(世間的にはそれほど華やかとは言えず、直接的には研究分野にも関係ない)職場にいました。

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これは言い換えれば、彼ほどの天才にしても、その才能が開花し、世間がその真価を認めるまでの間は、社会の中での「居場所」が必要であった、ということです。

誰にでも、持って生まれた才能はあります。しかし、才能が花開くその日までは、群れの中で生き延びていくということは、欠かせません。その方法を丁寧に伝えておくことだけが、親や教師が、子どもや生徒の才能を開花させるにあたってできる、最良のサポートなのです。

親や教師、会社の上司は、子どもや生徒、自分の部下の才能を引き出そうと、あれこれ世話を焼きたがるものです。しかし、私たちが知っておくべきことは、私たちは決して「助走期間」のただ中にある<才能の芽>を正しく評価することはできない、ということです。

才能を育む、大切な<助走期間>の間に周囲の人間ができること。それは、その人が社会、すなわち群れに馴染み、生き延びることができるように教育し、支援することだけなのです。

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