「ホウレンソウ」は、人の成長の芽を摘む 松井忠三・良品計画会長に聞く

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──「報(ほう)(告)・連(れん)(絡)・相(そう)(談)」は、いらないとも書かれています。

これは成果が出ない。営業会議の指示の内容を1日ぐらい置いて店舗の末端のアルバイトやパートの人たちに聞いてみると、1割や2割しか伝わっていない。コミュニケーションはそんなものだと思ったほうがいいし、もともと報・連・相は人の成長の芽を摘む。

毎週30~40店舗を監査室が回って、経営の課題を同時に実地に見てきてもらう。その報告を月曜日13~14時に社長ミーティングで行う。このほうが現場で起こっていることがつまびらかにわかる。本部長も同席するから、その時点で指示が出る。最短のコミュニケーションで、最高執行責任者に見える化がされれば、悪い点はすぐ直せる。現場が直せれば顧客の評価は変わらない。報告会がいちばん確かな方法だ。

──商品開発の仕組みづくりは?

たとえばワールド・ムジというプロジェクト。世界のクリエーターと一緒に作る。ファウンド・ムジといって強烈なやつを探してくる仕組みもある。あるいは「くらしの良品研究所」のような、商品を開発する仕組みも持っている。個々の社員の頑張りだけでは勝ち抜けないから、仕組みにしないと。

──仕組みづくりは人材活用にも生きていますか。

人材委員会がある。人をどう合理的に育成・配置するかという、「永遠のテーマ」を扱う。部長は40人いる。40人の配置は、人材委員会で全役員が入って、部門エゴは許さず決めていく。人事データだから公表されることはないが、役員が替わってもこの仕組みは残る。

『無印良品は、仕組みが9割』
角川書店 1470円 221ページ

塚田 紀史 東洋経済 記者

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つかだ のりふみ / Norifumi Tsukada

電気機器、金属製品などの業界を担当

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