女性初の工場長になったママ社員の「価値観」 「女が来た」から始まった現場での格闘
女性が働きやすい職場は誰もが働きやすい
――5月まで4年間、滋賀で工場長を務めていました。「女性が働きやすい工場」を目指し、改善を重ねた、と伺いました。
はい。求人倍率が上がり、工場のある滋賀県でも人材の採用が容易ではなくなっています。優秀な人であれば男女問わず採用し生かすのは当たり前。そうしないと会社が立ち行かない、と思っていたからです。具体的には、重いものを運ぶといった肉体的負担を軽減するため、機械化を進めました。
実は、こうした改善は男性にも好評だったのです。無理に重いものを持ち上げずに済むようになったことで、腰痛がなくなった……といった声を聞きました。やはり、女性が働きやすい職場は誰もが働きやすい。男性にもメリットがあるんです。
――高木さんは文系ご出身ですが、入社10年目に、工場勤務の希望を出したそうですね。
P&Gは職種別採用をしており、私は生産統括部門に入りました。サプライチェーンやロジスティクスなど、最終製品を作る過程全体をマネジメントしたい、という漠然とした希望を持っていたのです。
最初の10年は本社で生産企画を担当し、製品の供給戦略や新製品の導入計画を管理していました。本社から工場に対して、たとえばコストを下げてほしいといったような、さまざまな指示や要望を出します。でも私自身は工場の現場経験がない。現場を見たいと思い、年に1度、上司に希望を出す機会を使い「現場に行きたい」と言ったのです。
――希望はすぐに通ったのでしょうか?
それが、5年かかりました。毎年「工場へ行きたい」「現場を見たい」と言い続けたら、5年目に高崎工場へオペレーションマネジャーとして異動することができたのです。
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