佐藤琢磨「自ら挑戦しないと運はつかめない」 日本人で初めてインディを制した男の真実
レーシングドライバーになるきっかけ
森 美知典(以下、森):僕はF1世代で琢磨さんのレースも観ていましたので、そのお話も聞きたいのですが、今回はどちらかというと“人間”は何を考えて、どういうことに影響を受け、苦難をどう乗り越えて世界という選択肢を持つに至ったのか、というところを中心にお聞きできればと思います。レースの世界に触れたのは、いつ頃だったんですか?
佐藤 琢磨(以下、佐藤):1987年に鈴鹿で開催された日本グランプリですね。僕がクルマ好きだったこともあって、父の知人がチケットを譲ってくださいました。
森:そのときに初めて、F1を生で観ることになったわけですか? 相当な衝撃だったのでは。
佐藤:はい、それはもう。あのマシン、音、加速感、空気を切り裂くようなスピード、サーキット全体の張り詰めたような緊張感、すべてに圧倒されて。あの日を境に、本当に頭のてっぺんからつま先まで、F1がすべてになってしまったんです。そのときの原体験が、レーシングドライバーになるきっかけですね。
森:すごいですね。10歳で進むべき道が見えてしまった、と。ただ、レースの世界って、どうやって入っていくのか想像できないですし、日常とはかなりかけ離れた印象があります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら