盗撮被害で示談金要求、刑事責任に影響は? 民事と刑事、両方で責任が発生するが…
DVDレンタル店で盗撮にあったという女性から弁護士ドットコムの法律相談コーナーに投稿がありました。
相談者によると、DVDを借りようとしていたら足元が光ったので振り返ると、男性がいました。女性が「盗撮しましたよね」と声をかけると逃げたため、大声を出して近くの人につかまえてもらったそうです。その後、警察が来て、盗撮の事実も確認されたため、男性は逮捕されました。
警察には「罰金刑」で終わると説明をされたそうですが、相談者は「男の人に後ろに立たれるのも怖いし、安心して生活ができない」として、示談金か慰謝料を請求したいといいます。
盗撮にあった被害者は加害者に対して、示談金や慰謝料を請求することができるのでしょうか。大森景一弁護士に聞きました。
盗撮の場合に多い責任追及の形は?
――今回の女性の場合、刑事責任だけでなく、民事上の責任も求めています
盗撮行為を行った場合には、刑事責任、民事責任、ともに発生します。まず、加害者には、各都道府県の条例違反として刑事責任。また、被害者の性的羞恥心やプライバシーを侵害した不法行為として民事上の責任、つまり慰謝料も発生することになります。
刑事責任については警察が捜査を行い、検察官が刑事裁判を提起します。一方、民事責任については、被害者が自ら弁護士を付けるなどして請求するのが原則です。
ただし、実際には盗撮のような比較的軽微な犯罪については、費用対効果の観点などから被害者が民事訴訟まで提起することはほとんどありません。多くの場合、加害者側からの示談の申し入れに被害者が応じる形で、裁判外の示談交渉により慰謝料等の支払いがなされているのが実態と思われます。