「痴漢冤罪」は鉄道会社と弁護士が組めば減る 鉄道業界だけでは「無実の人」は救えない

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毎日の電車通勤で痴漢に間違われる不安を抱える人は多い(写真:Graphs / PIXTA)

「大抵の場合、やってますよ」

ある鉄道会社のベテラン社員はそう語った。満員電車内で痴漢だと疑われた男性が無実であるというケースは少なく、大抵の場合は痴漢行為をやっているという意味だ。

本来なら性善説に立つべきかもしれないが、駅業務を長年経験し、数々の修羅場に立ち会ってきた鉄道員の目には、性悪説に映ってしまうのかもしれない。

ただ、鉄道会社の社員は捜査をするわけではない。「痴漢だと疑われた人を警察に引き渡した後、その人がどうなったかについて警察から連絡が来ることはありません」と、別の鉄道会社の社員は語る。それならば、鉄道会社の社員が真実を知ることはなさそうだ。そこに冤罪が紛れ込んでいるとしても。

線路立ち入りは昔からあった

痴漢冤罪をテーマにした2007年公開の映画『それでもボクはやってない』によると、痴漢だとを疑われた男性は、「事情を聞くため」に駅の事務室に被害者の女性とともに案内される。そしてやってきた警官に連行されてしまう。

事務室に入ったら逃げることはできない。警察に連行されたら厳しい取り調べが待っていて、そう簡単には解放してもらえない。そのため、回避手段として、線路へ飛び降りて逃げるという行為が行われているようだ。

最近になって、痴漢だと疑われた男性がホームから線路に飛び降りて逃げるという事例が相次いでいる。5月15日には、東急田園都市線・青葉台駅で「俺じゃない」と叫んで線路に飛び降りた人が、駅に進入してきた電車にはねられて死亡するという事故も起きた。

鉄道会社によると、犯罪を疑われた人が線路に飛び降りて逃げおおせるというケースは昔からあるそうだ。確かに「お客様が線路に立ち入ったので電車が止まっています」というアナウンスをしばしば耳にすることがある。

ただ、「線路立ち入り=何かの隠語」とまことしやかに語られたこともあったくらいだから、一般人には線路に飛び降りて逃げるなんて想像もつかなかった。常習犯の間だけで知られていた逃走手段が報道を通じて広まり、痴漢だと疑われた人がまねをして事故に遭ったとしたら、あまりにも痛ましい。

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