星のや軽井沢の客が、やけに活動的な理由 夏も冬も、内も外も!終わりなき”カイゼン”

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夏も冬も「動いて楽しい」宿にする

――まだまだ夏のハイシーズンですが、これからホスピタリティで強化したい部分などはありますか?

やはり、お客様がもっとくつろいでいただけるようにと考えています。お客様が部屋にこもるのでなくて、もっと自由に歩いて楽しめる「動いて楽しい星のや」を作らないといけない。

京都で総支配人をしているときに思ったのは、お客様はやはり伝統の深さを知りたいと思われている。でも、一般観光客として入ってこられて、そうそう深みは学べないんですよ。なので、その窓口に星のやがなりたいと思って、聞香とか、普通の人にできないお茶とか、普通の人が入れないお寺の見学、などをアクティビティに取り入れています。

夏には夏の、冬には冬の楽しみを入れる

お客様が避暑で来るということは、やはり休み、くつろぎがコンセプトとして重要です。どんなスパを作るか、どんなくつろぎアクティビティをするかといったことです。

たとえば今だったら、30代から50代の男性には走ってもらうとか、小さな山を登っていただくとか。身体をリフレッシュさせて、交感神経の集中力をガーっと高めていただき、帰ってきて温泉に入ったあとに、スパをすると、副交感神経がとってもよく働きます。くつろいでいるのに、集中できるようになります。

――そこまで考えられているのですね。

星野リゾートのグループには、動植物の専門家チーム「ピッキオ」が自然のインタープリター(翻訳家)として森の中を案内してくれる「ネイチャーウォッチング」があります。現代人は目が疲れているから、「ネイチャーヒアリング(聞く)」とか「ネイチャースニージング(においをかぐ)」「ネイチャータッチング(触れる)」できないか「ピッキオ」に確認したら、できるようなので、それを近々、公開しようと思っています。

この施設の外には、冬に天然の氷が張るスケートリンクがあって、前の冬から再開したらお客様に楽しんでいただけました。今年は夜もできるようにしたい。「夜、スケートしたあとに(お酒を)飲みたいよね」という話になり、その準備も開始しています。完成するとお客様の冬の行動領域が増えます。

夏には、天然の蛍がたくさん見られるところもあります。今は仮設の階段をつけただけですが、来年は「蛍バー」にしようかなと思っています。蛍を見るとウキウキしますよね。そこでもお酒が飲めたら、もっといいんじゃないかなと思っています。

(撮影:今井康一)

 

筆者が手掛けた東洋経済オンラインのホテル連載が、電子書籍「1泊10万円でも泊まりたい ラグジュアリーホテル 至高の非日常」(小社刊)になりました。10万円以上するような部屋に泊まりたいと思わせるラグジュアリーホテルの魅力とはいったい何なのか。厳選9ホテルの総支配人たちが大いに語っています。

 

山川 清弘 「会社四季報オンライン」編集部 編集委員

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やまかわ・きよひろ / Kiyohiro Yamakawa

1967年、東京都生まれ。91年、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。東洋経済新報社に入社後、記者として放送、ゼネコン、銀行、コンビニ、旅行など担当。98~99年、英オックスフォード大学に留学(ロイター・フェロー)。『会社四季報プロ500』編集長、『会社四季報』副編集長、『週刊東洋経済プラス』編集長などを経て現職。日本証券アナリスト協会認定アナリスト、日本テクニカルアナリスト協会認定テクニカルアナリスト。著書に『世界のメディア王 マードックの謎』(今井澂氏との共著、東洋経済新報社)、『ホテル御三家 帝国ホテル、オークラ、ニューオータニ』(幻冬舎新書)など。

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