僕たちは南相馬の20キロ圏内という警戒区域が解除されたばかりの場所に出掛けた。
グチャグチャのまま転がっている船やトラック、自転車が密集した駅前の駐輪場、倒壊した家、地割れした道路……。震災から2年が経つというのに、町は映画の中のゴーストタウンのような状況のままだ。東京女子たちはそれらをじっと見て、感じたことをどう表現するべきか、迷いながらも最終的な制作を詰めてくれた。
そして2013年3月11日。2012年の秋に立ち上がり、準備を進めてきたプロジェクトは、いよいよ販売できる態勢となった。
ヤフーの復興企画とほぼ同時期に、ピアスの販売もスタートした。評判は上々だ。マキちゃんの活動がテレビや雑誌で紹介される機会も増えていき、それと同時にピアスが売り切れになることも珍しくなかった。
初めての経験でみんな苦労が多かったが、結果的にとてもよい品ができたと思う。イヤリングバージョンが欲しいという要望も増えているし、今後はリアル店舗での販売も考えている。
“コンバージョン”するメディアを目指す
実は、こうしたピアスの販売やふくしまの旅ガイドについて、地元では賛否両論あったようだ。
チャラチャラ商売するなという声もあったし、ふくしまは見世物じゃないんだという人もいた。それらを全部受けとめながら、彼女は少しずつ共感する人を増やして頑張ってきたのだ。
マキちゃんは、以前の自分たちが、いかに世の中に無関心だったかと振り返る。
「原発事故が起きて、私たちは国や行政が悪いと言って怒ったけれど、選挙にしてもよく考えて投票していたとは言えない。国って私たち国民の集合体だし。だからこれからはふくしまだけでなく、もっと広範囲でいろいろ考えていかなくちゃと思う」
こうして「女子の暮らしの研究所」は、その活動範囲をどんどん拡大させている。最近は若者に選挙に行くように促す“選挙キャンプ”を開いたり、福島だけでなく食全般について考えるフェアトレードなども始めている。
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