世界を変える4000「いいね!」の威力 思いを形にした、ふくしま女子たちのパワー

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今回の企画の中で、僕自身がいちばん気を使ったのは、ふくしまや女の子の問題に関して、どこまで伝え、表現するかということだった。

ふくしまの問題は非常に繊細で、クローズアップしすぎると、先ほど書いたように賛否両論集まってきて混沌とし、本来伝えたかったことが曲がって伝わったり、別の議論に流されてすり替えられたりしてしまう。そうなると、それを伝えられた人からしても、「自分から遠い話」に感じられると思う。

だからたくさん訴えたいことがあっても、それを貫きすぎると、逆に気持ちが届かない気がしていたのだ。ラジオのパーソナリティをやっていたマキちゃんも、そんな情報の伝え方のあんばいはわかっていて、かなり配慮していたと思う。

とはいえ、何でもカタチにすることが重要だなと、僕自身はあらためて実感した。

企画の構想だけでは、いくら話をしても「へえ、そうですか」といった反応で終わりがちだ。一方、商品やサイトという何かしらカタチがあると、理解されやすく訴求しやすい。

僕らがやっている「「復興デパートメント」や「三陸フィッシャーマンズ・プロジェクト」もサイトがあったから、「じゃあ、何か売るものがあったら連絡しますね」と地元の方々に言ってもらえたし、メディアで紹介される機会も広がっていった。

ネットで情報を発信し、共感したユーザーに買い物や募金をしてもらい、プロジェクトを進めていく。

これは、以前からヤフーでも常々やりたいと思っていたことだった。「復興デパートメント」もその実験場のひとつだ。311特集の際は、東北でモノ作りに挑んでいる人たちにスポットを当て、多くのユーザーから共感を得て商品を買ってもらった。

初めて会ったときは、本当に「ふつうの女子」だった子がどんどん共感を得て、企画もどんどんよくなって、会社まで立ち上げて、TVや雑誌・新聞に出まくって、先日、広島で8月6日に行われた平和記念式典に呼ばれるまでになっていくのを間近で見て、オッサンは「共感」の力を感じまくった。

これからもヤフーは、そういう共感をネットの力で広めつつ、ユーザーによりよいアクションを起こしてもらう“コンバージョンするメディア”を目指していけたらいいな、なんて思っている。

(構成:渡部由美子)

 

 

長谷川 琢也 ヤフー株式会社復興支援室

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はせがわ たくや / Hasegawa Takuya

ヤフー株式会社復興支援室。
ヤフー株式会社ECオペレーション本部部長を経て現職に。

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