でも、誰ひとりとしてそんな風にtallとhighを使い分けてはいないですよね(笑)。tall派のネーティブたちに、But you say that Mount Everest is the tallest mountain in the world, right? (でも、エベレストが世界でいちばん高い(tall)山って言ってるんだよね?)と聞くと、困った顔をしながらうなずいていました。実際に使うときには、その意味の差を意識して使うことはないようです。
さらには、海面や地面ではなく、地球の中心点からの距離で高さを考えると、エクアドルのチンボラソがhighestだという情報も……。地球自体が完全な球体ではないので、赤道近くにあるチンボラソのほうが、エベレストよりも宇宙に近いという意味ではhighestらしいのです。なんだか、これはもう英語の話ではなくなってきましたね……(笑)。
でも山の他にも、建物にはtallを使う人のほうが多かったり、壁はみんなhighしか使わなかったり……。身近な単語の使い方をじっくり研究するだけでも、なかなか面白いものですね。
そもそも、なぜこんな山の話になったかというと、「重ね言葉」のことをジョンに話そうと、話を始めたときに英語を直されたからなのです。ジョンに話そうとしていたのは、あるメーカーに勤務するタロウさんと話しているときに気がついた英語の重ね言葉です。
高価な値段
タロウさん、ゴールデンウイーク中に友だちと富士山に行ったらしいのです。そのときの話をしてくれたのですが、その中で登山の記念に売っている金剛杖の話が出ました。富士登山をした方はご存じのように、富士山では杖を買って途中の山小屋で、記念に焼き印を何度か押してもらうのですが、焼印を集めるのにおカネがかかるので、最終的には意外に高くついてしまうということでした。
この説明でタロウさんが重ね言葉を使ったのです。
対訳を見てわかるように、expensiveは「値段が高い」という意味。つまり、price(値段)の「値段が高い」というのはおかしいのです。
また、一緒に行った友だちの「歩くスピードが速くて疲れた」と言うときにも重ね言葉が……。
fastも「速度が速い」という意味なので、walking speed(歩く速度)の「速度が速い」というのは、少し妙なのです。こういった程度を表す表現では、high / lowを使うことが多いのです。正しく言うなら
His walking speed was really high. (彼の歩く速度がすごく速かったです)
とするべき。でも、このようにpriceやspeedを主語にした言い方は、日常会話ではあまり自然ではありません。通常は
He walked really fast. (彼の歩く速度がすごく速かったです)
のように言います。もちろん、文脈によっては、そういう言い方をしてもおかしくないことはありますが、日常会話であれば上記のような言い方をお勧めします。
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