次のような例も一緒に覚えておくといいでしょう。
× The taste of the dish was delicious. (その料理の味はとても味がおいしかった)
temperature(温度)も high/lowで表し、taste(味)は good/badで表すのが普通です。でも、いちばん自然な言い方は
The dish was [ delicious / very good ]. (その料理はとてもおいしかった)
で、やはり主語にtemperatureやtasteを使わないほうが一般的です。
ただ、これらの重ね言葉はネーティブでも使うことがあるようで、もちろん個人の感覚にもよりますが
△ The volume of the TV was really loud. (テレビのボリュームがとても大きい音量だった)
あたりは「ギリギリセーフ」と思う人もいるようです。厳密には
The TV was really loud. (そのテレビは、音量がとても大きかった)
のように、天気は主語を it にし、loudは「音量が大きい」という意味なので、主語にvolume(音量)を使わないのが通常です。どの重ね言葉は明らかにおかしくて、どれは意見が分かれて、というのは、日本語の重ね言葉のようにさまざまな要因によって決まるようなので、一概に言い切れないのが悩ましいところです。
ひととおりこんな説明をすると、タロウさんが「先生が言った、日本語の『速度が速い』も重ね言葉じゃないですか?」と聞いてきました。確かにそうですよね。でも、他に言いようがない気もしますが、皆さんはどう思いますか。「高速」と言いますので、本当は「速度が高い」が正解? 「速度が大きい」はおかしい気がしますし……。やはり「速度が速い」がいちばんしっくりくるのですけれど。「速度が急」と言うのがいいのでしょうか? 「急スピード」とも言いますしね。反対だったら「ゆるやか」ですかね……?
そう考えると、日本語も難しい! 角度は「大きい」ですけど、密度は「高い」ですし、可能性は「大きい」でも「高い」でもいい気がします。いや、角度は「広い」ですか? 謎は深まるばかりです。
語順が変わると「許容度が高く」なる!
そんなタロウさんとのhigh and tall話をジョンにしたところ、「重ね言葉はおかしい」と、今度はジョンも同意してくれました。「そもそも The price is… とか、The speed is… とか、そんな言い方自体が日本語っぽくておかしいけど」と言うので、それもちゃんと伝えたと言うと That’s good. (よかった)と安心していました。
ただ、やはりThe weather is sunny. (天気は晴れ模様)とか、The volume was loud. (ボリュームは音量が大きい)など、いくつかの重ね言葉については、何度も言いながら悩んでいました。「大丈夫なような、おかしいような……」とネーティブでも断言できない様子。まさに日本語と同じ感じですね。筆者も、日本語の「速度が速い」は判断に迷いますし(笑)。
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