ヤマト元社員が訴える「宅配現場」本当の疲弊

未払い残業代を払い値上げしても解決しない

現場の実感と報道のトーンには微妙な違いがあるようだ(撮影:大澤 誠)

ヤマトで今、起こっていること

昨今、ヤマト運輸に関するニュースが世間をにぎわせている。ネット通販の爆発的な普及に伴う荷物量の急増に耐えきれず、宅配ドライバーらの違法な長時間労働が常態化。運賃の値上げや取引先の見直しなどの施策を打ち出している。

「アマゾンの流通量増加で、運んでも運んでも終わらない」

「ヤマトのドライバーの労働環境が劣悪すぎて、人が足りない」

「ドライバーを確保するためにも、長年据え置いた宅配料金値上げもやむなし」

そのような声はもっともだが、私は十数年ヤマトのドライバーとして勤務し、現場で見聞きしたことと、報道されていることには微妙な違いがあると感じていた。改めてかつてのドライバー仲間にも話を聞き、現場発のヤマトの問題についてリポートする。

ヤマトで今、何が起こっているのか。

(1)ドライバーから消えていく笑顔

ベテランが辞めていく――。10年以上の戦士たちがぞくぞくと退職していき、定年間近の大ベテランと新人が残る空洞化現象だ。辞めた人たちに聞くとほとんどの人が、入った頃は定年まで勤め上げることを信じて疑わなかったという。

「忙しいのは忙しかったよ。今と同じように休憩も取らずに走り続けた。でも、疲労は感じても疲弊感はなかったね。やればやった分、給料で跳ね返ってきたもん。残業もすすんでやったな。今じゃ信じられないと思うけど、目をバチバチさせて佐川急便のドライバーと荷物を取り合ってたからね」(ドライバー歴16年)

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