プレゼンの聴衆は、「お母さん」だと思え!

食べやすいサイズで、食べやすい順番が鉄則

世の中には、凝りに凝ったプレゼンテーションの手法を紹介する本が多く出回っている。でも、立派なプレゼンさえできれば、本当に成功するのか? 国内外の学会等で数多くのプレゼンをする東京大学医科学研究所の河岡義裕教授は、プレゼンの極意とは「お母さんに伝わること」だと言う。

今、ヒトに感染しているウイルスの多くは、もともと鳥類のウイルスだった。しかし、ヒトには感染しなかったウイルスが、ある日ヒトに感染することがあり、そうなると2009年のようなパンデミックが起こる。そういったウイルスについて、「どういう過程でほかの動物からヒトに感染するのか」「なぜ感染するとヒトは死んでしまうのか」といったことを調べたりワクチンを研究したりするのが私の仕事だ。

そして、研究を続けるために欠かせないのが研究費である。大型予算を獲得するときなどは、書類審査と面接を受けなければならない。その際に重要なのがプレゼン力である。プレゼンの良し悪しが研究費を左右するのだ。

プレゼンを評価する、米国の小学校

もちろん「もの(研究内容)」が水準以上であることは大前提だ。しかし「もの」が良くてもプレゼンがまずいと売れないのはビジネスも研究も同じである。米国人はそれを知っているから、小学校の授業にプレゼンのカリキュラムを入れている。息子が米国の小学校に通っていたのだが、通知表のプレゼンの項目には「聴衆に向かっている」だけでなく「聴衆に満遍なく向かっている」という項目まである。彼らがプレゼン巧者なのは、決して先天的な理由や文化の違いだけではない。

そこで私も研究室の学生に、スライドの書き方から話し方、仕草に至るまで、プレゼンについて細かく指導している。水準以上の「もの」の作り方を教えることは難しいが、プレゼンは方法論であり、簡単に教えることができる。

プレゼンの極意は「お母さんがわかるように伝える」こと。これに尽きる。たとえば、われわれが予算獲得のときにプレゼンをする相手は同じく科学者だが、一般の人に対するときと同じようにプレゼンをしている。なぜなら、たとえ科学者同士でもまったく同じ研究をしている人はまれであり、少し分野が違うと、くわしいことはよくわからなくなる。だから一般の人、たとえば「お母さん」にわかるレベルで語らないと、同業者が相手でも伝わらないものなのだ。

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