7000通りの仕様がつくれる国産腕時計の秘密 月産1万台でも追いつかない「Knot」の正体
――挑戦はまだ始まったばかり。
遠藤氏:そしてこのほど、Knot創業当時から構想していた機械式オートマチック腕時計「AT-38 Automatic Model」が、ついに完成しました。「日本人の魂と技が注ぎ込まれた高性能の腕時計」を、日本のユーザーにこそ手にとりやすい価格で身につけて欲しい、魅力を感じていただきたいという想いから生まれたものです。
この腕時計のケースは、国内最高峰の技術を持つ製造業者が手掛けています。素材は、医療の分野で全世界的に使われている、高純度のステンレス「サージカルステンレススチール316L」。削り出しのステンレスを、約1200℃の高炉で熱入れし、異なる8つの形状の型で繰り返し叩いて鍛える「鍛造製法」によって、金属の密度が高く、さらに歪みのない美しい「ザラツ研磨」を施すなど、国内最高峰の金属加工技術から生み出されています。
また時計の心臓部であるムーブメントには、約30年ぶりに復活したCITIZEN MIYOTA製の「cal.9015」日本製ハイビートムーブメントを採用。1時間に28,800回(1秒8回)というハイビート(振動)は、秒針の振り幅を小さくし、時計の精度を飛躍的に高め、薄さもドレスウオッチの基準である幅38ミリ内に納め、オートマチックでありながら厚さ10ミリを実現。また裏蓋が透明のシースルーバックなため、機械が動いている姿を視認することもできます。
さらに文字盤は国内ではほとんど製造されなくなった植え付け技術を復活させたもので、秋田県にある老舗の腕時計製造工場が請け負ってくれています。こうして、失われつつある日本の腕時計製造技術を集結し出来上がった機械式時計「AT-38 Automatic Model」は、私たちKnotがお届けする渾身の一作となっています。
日本製の高品質な腕時計を世界中の人々に
――腕時計への「想い」を出発点に、それを着実にビジネスへとつなげてきました。
遠藤氏:すべての仕事は、想いが出発点だと思いますが、そのままでは「思いつきのまま」で終わってしまう。私は、想いを大切にしつつも、そこに徹底したデータ志向でビジネスモデルに載せていくことで、想いは実現していくと思っています。最初にLUMINOXを手がけたときのように、「あのブランドの成功要素、あの国で成功しているビジネスモデル」、そうした想いを現実にさせるための手法を探すため、常にアンテナを張っています。
私はこれまで何度か起業してきましたが、その中で成功も失敗もたくさんありました。人とのご縁があり、幸運が重なって、ブームと呼ばれる現象も起こせた一方で、仕入れたものがまったく売れなかったり、偽物をつかまされたり、言われのない噂を立てられることもありました。それらを振り返り、すべて「楽しかった」とは言えませんが、そこに「腕時計への想い」があって、実現に向かって仲間と一緒に乗越えた喜びがあったからこそ、今まで続けることができたんだと思います。
――仲間と乗り越える、次の目標、夢は。
遠藤氏:今すでに、「MUSUBUプロジェクト」として、栃木レザーや京都の組み紐など、日本の伝統工芸とコラボレーションした腕時計やベルトを展開していますが、これからも伝統の技術や素材を、時計という新たな場で活かしていきたいと思います。そして、腕時計という素晴らしい装飾文化を切り口に、日本と世界をつないでいきたいですね。
世界中から注目される日本の伝統・職人芸を、手にとりやすい価格とスタイルでお届けする。社名のKnotは「結ぶ」=「絆」という意味を込めて名付けられたものですが、私たちKnotの腕時計が、伝統と最新技術、日本と海外、世界中の人種や文化など、あらゆるものを結びあわせられる存在であり続けて欲しい。私たちの挑戦はまだ始まったばかりですが、そうした想いを大切に、デザインと品質に優れた「Made in Japan」の腕時計を、これからも皆様にお届けしていきたいと思います。
(インタビュー・文/沖中幸太郎)
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