7000通りの仕様がつくれる国産腕時計の秘密

月産1万台でも追いつかない「Knot」の正体

――若さゆえのフットワークの軽さを存分に活かして。

遠藤氏:若くて、知識も経験も乏しいことを逆に“武器”にしようと意識していました。仕事で行った先の海外の有力者に「お金がないんです、泊めてください」といった、大人であれば許されないような振る舞いも、できるうちにやる。「持たない」ことで躊躇せず、どこにでも飛び込んでみようと思っていたんです。実際にお金もそんなにありませんでしたし、番組の企画とはいえ自腹ということもありましたから(笑)。そうして、体当たりの仕事を続けていくうちに、いつの間にか経済界で重鎮と呼ばれるような方々との世界的な人脈もできあがっていきました。

“目利き”をビジネスに海外製腕時計ブームの火付け役に

遠藤氏:事業も軌道に乗り、順調に進んでいたころ、バイヤーの買い付け仕事で、米国テキサス州ダラスで行われていた、軍や警察の払い下げ品の展示会「Shot Show(ショットショー)」を訪れる機会がありました。黒や緑といった迷彩色の品物が溢れる中で、ひときわ目立つオレンジやピンクといった色鮮やかな時計。それがLUMINOX(ルミノックス)との出会いでした。デザインに変化の乏しいミリタリーウォッチにあって、LUMINOXだけがカラフルで、かつ軍用品としての格好よさを持つ姿に、すっかり魅了されてしまったんです。

――遠藤さんの「目利き」に適った物を、次はどのように商品として流行らせるか。

遠藤氏:ちょうどそのころ、海外の映画俳優が身に付けていた腕時計が大ブレイクするという事例があり、日本でも応用、展開したいと考えていました。縁あって、ある俳優さんと親しくさせていただいていたのですが、彼に、LUMINOXの腕時計を紹介したところ、幸運なことに、その方が出演するドラマの、主演タレントにLUMINOXを付けてもらえるまでになったんです。

効果はてきめんで、日本でのLUMINOXの知名度は一気に上がり、私も海外の時と同じ現象が起きたことに、ビジネスとしての将来性を感じ、日本でLUMINOXの販売代理店を始めるようになりました。このころから、少しずつ腕時計業界のことを勉強し始め、その魅力に惹かれるようになっていきましたね。ただ、しばらく腕時計業界に携わっていると、ヒットを保ち続けること、ビジネスとして継続させるのは、価格面から見ても難しいことに気がつきました。そういうこともあって、しばらくは、腕時計の販売を手がけつつも、バイヤーとして海外雑貨を取り扱う仕事をメインに続けていました。これが30代前半のころです。

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