「14時頃に眠くなる人」が知らない睡魔の正体 昼寝や朝風呂、朝ランもやりすぎは禁物だ

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朝に入浴する人もいると思いますが、長い「朝風呂」はおすすめできません。

「お風呂に入って体温を上げると活動モードになるからいいのでは?」とよくいわれるのですが、体温は大きく上がるとより下がろうとする性質があります。15分ほど朝入浴してしまうと、しばらくすると体温が下がって眠くなるのです。

なので、朝お風呂に入るならシャワーをおすすめします。

さらに、「体温が急激に上がると、その後下がって眠くなる」ことを踏まえると、朝活ではやっている「ランニング」も注意が必要です。「汗だく」になるくらい走ってしまうと体温が上がりすぎて、その後元の体温より下がって眠気がやってきやすくなります。

もし、ランニングを日課としていて日中眠くなることで悩んでいる人は、「早足のウォーキング」に切り替えるなどして、体温が上がりすぎないようにしていただければ、と思います。

「電車の中で眠る」効果はどれくらい?

「朝晩の電車での細切れ睡眠は、睡眠不足解消に効果がありますか?」というのも、よくある質問です。

結論からいうと、連続して眠った6時間と、細切れで眠ったトータル6時間の睡眠の質はまったく違います。ノンレム睡眠とレム睡眠のサイクルが、細切れでは正しく現れないからです。

『スタンフォード式 最高の睡眠』(サンマーク出版)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

電車内での仮眠はたいていノンレム睡眠です。座ったままの不安定な姿勢では、筋肉が弛緩するレム睡眠は簡単には出てこず、深いノンレム睡眠にいきなり入るので目覚めもすっきりしません。

「better than nothing」で、まったく寝ないよりも短い時間でも仮眠するほうがいいとはいえますが、これはあくまで補助手段。

「家のベッドで4時間、朝夕の通勤で2時間、合計6時間睡眠」とあらかじめパターン化するのは苦肉の策といえます。

「電車で寝るから大丈夫」というのが日常的な人は、長期的なパフォーマンス低下や、体に悪影響を与える可能性も踏まえて、6時間睡眠は最低限確保するのが望ましいでしょう。

西野 精治 スタンフォード大学医学部精神科教授、睡眠生体リズム研究所(SCNL)所長

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にしの せいじ / Seiji Nishino

医師、医学博士、日本睡眠学会専門医。大阪医科大学卒業。1985年大阪医科大学大学院より新技術開発事業団早石修プロジェクト出向。1987年スタンフォード大学留学。2019年ブレインスリープ創業、2021最高研究顧問就任。2022年NOBシフトワーク研究会設立、会長就任。著書に「睡眠負債」の実態と対策を明らかにしベストセラーとなった『スタンフォード式最高の睡眠』(サンマーク出版)、『スタンフォード大学教授が教える 熟睡の習慣』(PHP新書)、『睡眠障害』(角川新書)、『スタンフォード式 お金と人材が集まる仕事術』(文春新書)、『スタンフォードの眠れる教室』(幻冬舎)、共著に『最高のリターンをもたらす超・睡眠術』(大和書房)等。

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