「もったいない」の日本語に隠れた本当の意味 私たちは支え合って「生かされている」

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しかし、私たち日本人にとって「もったいない」という言葉がどのようなものか振り返ってみると、ごく当たり前の言葉として日常生活の中で使い、時には心の中で呟くような言葉だということに気がつくと思います。

「もったいない」の意味のいろいろ

実際、どのような場面で「もったいない」という言葉を使うか整理してみます。一番多いのが、①食事の際の食べ残しや、何か物を処分するときだと思います。そして、②無駄な時間や物を使うときにも、つい口にすると思います。また、③過分なお気持ちや物、チャンスや機会などを得たときにも使います。さらに、④それらを失ったときにも「もったいない」を使います。これらは「もったいない」を使う代表的な場面だと思いますが、こうしてみてみると、「もったいない」にも場面によって微妙に日本語の意味が異なることに気がつきます。

四つの代表的な場面での「もったいない」を英語に訳すと、その意味の違いが明確になります。

① It’s wasteful.  (それは粗末にすることだ)
② That’s a waste of time. (時間の無駄だ)
③ It’s too good for me. (私には良すぎる)
④ How stupid of me! (私はなんて愚かなんだ)

英語での表現はすべて異なるものです。しかし、日本語の「もったいない」は、これらの意味をすべて一単語で表すのです。日本語で使う場合は、一単語で複数の意図が伝えられる便利な言葉だと思いますが、英語で「もったいない」ということを伝えようと思うとき、これらの意味を把握しておかなければトンチンカンな表現になりかねません。

これは私自身の経験ですが、渡米して間もないころ、「もったいない」という日本語を「粗末にしてならない」という意味でしか理解しておらず、常に「That’s wasteful.」という表現で英語を話していました。しかし、どうもしっくりこないと思うようになり、その原因が私の日本語の理解力の低さにあったときは、恥ずかしい思いでいっぱいでした。

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