女性ドライバーが主役という109年目の快挙 「ロサンゼルス自動車ショー」の歴史で初

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彼女が自力でこなした最も難しい修理は、燃料ポンプの亀裂を見つけ、取り替えたことだ。「最初は不具合の原因が燃料ポンプだとはわからなかった。何週間も原因がわからず、困ったあげく、フォルクスワーゲン車のオーナーが集うウェブ上のフォーラムで質問を投げかけて、やっと問題箇所が判明した」と言う。

燃料ポンプを取り替えるのにかかったコストは約200ドル。ディーラーやショップに修理に出すよりも、格段に安く自力で直すことができた。

「この時は、ひとりで直せた!と涙が出るほどうれしかった」。自力では手に負えない修理をプロの整備士に頼む場合でも、クルマに関する知識があるかどうかで客としての扱われ方が100%変わってくる、とチョウさんはアドバイスする。

ロサンゼルス近郊の整備士の実力はピンからキリまでと幅広い。その中から、腕が良く、正直で、リーズナブルな価格でサービスを提供する整備士を見つけ出すのは至難の業だ。

特に女性客の場合、クルマのことなど何も知らないだろうと、舐められてしまうことが多いとチョウさんは言う。「知り合いの女性が、あるショップでバッテリーの交換を頼んだら、新しく交換したはずのバッテリーが、実は古いバッテリーのままだったということも。つまり、交換せずに、交換したとうそをついて料金を取っていたわけ。修理が終わったら『古い部品はどこ?見せて』と必ず要求し、新しい部品がきちんと使われているかどうかを確認してほしい」と忠告する。

各部品の替え時もすべてサービスマニュアルに細かく明記されているため、マニュアルをバイブルのように読み込むことで、ショップやディーラーが新品への交換を強く薦めてきても、プレッシャーに負けずに済む。

「あれなら私にもできそう、と思ってもらえれば、何よりうれしい」(著者撮影)

「今や、テクノロジーや科学の分野に女性がどんどん進出している時代なのに、米国でも自動車産業はまだまだ男性中心の業界。特にメンテナンスの分野で働く女性の数は非常に少ない。手始めに、女性ひとりで近所のパーツショップに行って、簡単な修理キットを買って実際に使ってみてほしい。自信は少しずつついてくるから」と語る。

47%の来場者が女性というLA自動車ショーの会場では、女性ジャーナリストの数も多かった。筆者は「ねえ、『ガールズ・ガレージ』もう見た?」と知り合いのLAタイムズ紙の女性記者から言われてチョウさんの存在を知った。

きっと自分でできるから、やってごらん

そもそもチョウさんが修理の面白さに目覚めたのは、愛車が故障した時に相談した父親が発したひとことがきっかけだった。

「クルマの修理はそんなに難しくないよ。きっと自分でできるから、やってごらん」と言われ、こわごわクルマのボンネットを開けたのが最初だ。

LA自動車ショーにブースを出そうと決意し、ブースの設置費用6000ドルをクラウドファンディングで集めたチョウさん。

「プロの整備士でない私に、簡単な修理ができるなら、どんな女性でも必ずできるはず。小さな女の子が、私がスパークプラグを替えるのをじっと見ていたけど、あれなら私にもできそう、と思ってもらえれば何よりうれしい」

長野 美穂 ジャーナリスト

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ながの みほ / Miho Nagano

米インベスターズ・ビジネス・デイリー紙記者として5年間勤務し、自動車、バイオテクノロジー、製薬業界などを担当した後に独立。ミシガン州の地元新聞社に勤務した経験もある。

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