日本企業の外国人採用全体にいえることだが、キャリアパスの提示が十分にできておらず、信頼関係を築けないことが多い。企業によっては、人事システム全般の課題となる。
「学生側にとっても、就職先を探すのは大変であり、それは日本の学生と変わらない。優秀な学生が早期に内定をもらう図式自体は、日本もインドも変わらないので、早い段階で優秀層にアプローチする必要性を感じている(鈴木氏)」という。
前述の通り、キャンパスリクルーティングでは、多くの大学で面接日(あるいは翌日)に内定を即決しなければならない、という企業にとって非常に厳しいルールが存在する。
ミスマッチングのリスクを低減するため、企業はインターンシップを募集しており、ワークスアプリケーションズのように、インドの夏休み(5~6月)を利用して、日本や他の海外法人でのインターンを行い、相互に見極めるという手法を取っている企業もある。
産官学の連携をうまく回転せよ
採用担当者は何らかの方法で早期からのコミュニケーションが重要と口をそろえる。米国のように優秀な人材を呼び寄せるソフトパワーを、日本は持っていないため、産学連携も重要だ。
日本がODA(政府開発援助)で支援するインド工科大学ハイデラバード校(IIT-H)は、近年新設されたインド工科大学の1つであり、その中で最も優秀なキャンパスである。短期間にカラグプール校やボンベイ校など、歴史あるキャンパスに匹敵するまでになったのだが、2015年では日本企業は数社しか採用活動を行っていない。
産学官連携をうまく回転させることも日本全体の課題だろう。「日本がかかわっているのだから、もっとIIT-Hに注目してもいいはず」(パソナの谷氏)であり、他国の企業よりも早く学生と接する機会を持って、採用を優位に進めることができるはずだ。
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